第9章 農業生活九日目
「美味しいっ!!誰が作ったの?・・・あ、私だった。」
そして、シャキシャキと生野菜を咀嚼する。好きな野菜を全部入れた。一人なのでボウルのまま。さて、この後は温室へ行こう。
トウモロコシやトマト、茄子も欲しい。先の季節の作物も育てておかないとね。採取し空いたスペースに、種と肥料を蒔いていく。
「この肥料、買うと高かったんだよね~。今は、作れるからいいけど。うん、奮発しちゃおう。あ、草生えてる。」
珍しいと思いつつ、3ヶ所に生えていた雑草を引っこ抜く。これは、肥料を作る機材に投入。ここの肥料は種のような固形だ。
花咲か〇さんの様に、肥料を蒔いていると外から誰かの声が聞こえてきた。この声は・・・カミル?温室から出ると、玄関先にカミルがいた。
「カミルくん、こっちだよ。どうかしたの?」
「莉亜さん、良かった・・・。あの、あの・・・ワイン下さい。」
「ワイン・・・どの種類?」
今回のワインは定番とオレンジと苺だったっけ。カミルは考え込んでいて、返答に困っている。まだ昼間なのにワイン?と思っていると、カミルが口を開いた。
「ワインを炭酸水で割って出しているんですけど、もう殆ど出てしまって。
「ん?割ったのに、殆ど?」
空を見上げたけれど、まだそんな時間帯じゃ・・・。
「運ぶの手伝おうか?」
「いいんですか?お願いします。一先ず、5本ずつ・・・いや、7本ずつで。」
この村って、そんなにワイン好きだったっけ?それとも、誰かが酒豪なの?そんな風に呑気に思いつつ、運ぶのを手伝うことにした。
カミルは8本ずつそれぞれ両手に持っている。私は6本ずつ。私は全然非力じゃなかった・・・。物凄く申し訳無さそうなカミルだったけれど、私は平気で・・・。
急いでリヒトのお店に行くと・・・店内の席は満席で、外にも人が待っていた。大量に飲んでいたのは、バーク村長だった。確か、村長の誕生会でチェリー酒が出たとか・・・。
村長の前にはワインの空になったボトルが何本も見える。割ってないじゃん・・・原液じゃん。まだ、夜じゃないのに・・・。そして、超ニヤニヤしてる。ちょっと気持ち悪い。
「えっ?あ、リヒト。お疲れ様。」
「ありがとう、莉亜。重かったよね?後は僕がやるから。」
「あ、うん。えっと・・・何か手伝う?」
リヒトは頷いた。余程、困っていたらしい。