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牧場物語生活へトリップ!?

第69章 春十一日


二人の熱意が凄い。それ程、この村もこの村の作物もお店も大切に思っているのだろう。私はというと、渋い顔で手にしている紙を見ていた。

「難しいだろうか?」
「そう・・・ですね。毎日、この量を揃えるのは。ウチも宿屋と提携していますから。」
「ん?毎日?」
「えっ?違うのですか?」

アオイが紙の下側を指でなぞる。

「・・・一週間。えっ、一週間?」
「あぁ、一週間に必要な量だ。」
「そうですか・・・。う~ん・・・。」

宿屋との提携内容は、その時に採れた作物でということになっている。この様に、きっちりと指定された作物ではないので、そこそこ自由に卸している状況だ。それでも、最低量はあるのでそれだけは順守している。

「どこに引っ掛かりがあるのか、教えて貰いたい。」
「そうですね。知られて困ることではないのでお話します。ウチは宿屋と提携しています。条件は、最低量はありますけどその日の作物で概ね自由な種類を卸しています。」
「自由な種類?そうか・・・その事で引っ掛かりがあったのか。それが聞けただけで収穫はあった。感謝する。」

少しだけ緊張していたのか、表情が柔らかくなった。そして、私が出したお茶を一口飲んで固まった。

「・・・このお茶、旨い。」
「本当ね、兄さん。凄く美味しいわ。どこの茶葉を使っているの?」
「えっ、裏の茶畑の茶葉ですけど。」
「この茶葉を使ったレパートリーが頭に浮かぶ・・・。」

何やら思いをはせているアサド。余程、気に入ってくれたのだろう。

「そうだったな・・・決まったレパートリーだけじゃなく、新たなメニューも開発しないといけなかった。」
「そうね。この茶葉を使ったプリンが食べたいわ。」

二人で二人の世界に浸っている。

「はい、現実に戻りましょうか。」

アオイが両手を叩いて、意識を戻させた。

二人が赤い顔をして謝罪する。結局、アオイが話しを纏めてくれて、二人がウチの畑に直接取りに来てはそれを使って加工することになった。その他の条件として、宿屋の作物が困らない程度。

ウチの畑は高品質の肥料を使っているし、高品質の種を使っているので採取出来るまでの日が短い。それに・・・それにだ。

今のウチの四つの冷蔵庫と冷凍庫には、豊富な作物などが詰まっている。ママもそうだったと話してくれたっけ。
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