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牧場物語生活へトリップ!?

第69章 春十一日


昼食後、続きの農作業に出向こうとした時間に来客があった。この村でご当地のお土産店を営業しているアサドとその妹であるミラン。

「急に訪ねて来てすまん。忙しかったか?」

私はアオイと顔を見合わせて、来客の二人を招き入れた。

「どうぞ、お茶です。」
「重ね重ね、気を使わせて悪かったな。先日、ウチの店に来てくれた時、少し話したことなのだが聞いて欲しくて。」

そう言えば、アオイと訪れた村の土産物店で世間話をした事を思い出した。アサドたちはこの村の作物を加工しては、商品として売っている。所謂、地産地消である。

「提携先のおじいさんが体調を崩されて、町へと引っ越すお話しでしたよね?」
「あぁ、そうだ。その日が正式に決まって、畑を手離すことになったんだ。幸いにも、後継者を名乗り出てくれた人がいたんだが・・・。」
「何か問題でも?」

会話はアサドとアオイがしている。ミランと私は、それを聞いているだけ。そんなアサドが、私を見た。

「ウチの店とは提携をしないと言われた。」
「そんな・・・。」
「それで、莉緖に?」
「そうだ。ウチの売りは、地産地消。俺もミランも、この村の作物を愛している。だから、どうにかウチに作物を卸してくれる農家を探しているところなんだ。」

提携の事は、それぞれの事情があるから部外者である私が何も言うことは出来ない。そして、私はこの村の宿屋と提携している。

「この村の作物は、凄く美味しいと思っているの。私も兄さんも、その美味しさを広めたい。観光客からだって、いつも美味しいって言って貰えてるわ。村の住人だって、買いに来てくれているの。だから、どうかお願いします!!」
「あの・・・具体的な数字をお聞きできますか?」
「あ、そ、そうだったわ。つい気が急いてしまって。」

どうやら、お店の作物の在庫が危ういらしい。その為、一軒一軒訪ねて回っているそうだ。

アサドがオーダーの紙を見せてくれた。それに準じて、どんな事に使うのかまで書かれている。隣りから、アオイがその紙を覗き込んだ。

「へぇっ・・・随分、色々と加工しているんだね。」
「俺たちはその為に、町で料理の勉強や経営の勉強もして来た。この先も、この村で店を続けたいと思っている。全てでなくていい。リストアップした中の一部でもいい。だから、どうかお願いします!!」



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