第7章 農業生活七日目 (R若干指定)
そっか、幾ら住人が少ないとはいえ、一人でお店をやるのは大変だものね。ん?一人・・・?従業員、可愛い女の子とか雇うのかなぁ。
朝の仕事を終え、ランチタイム。コロッケサンドとコンソメスープ、そして野菜サラダ。コロッケがサクサクとほっこりで凄く美味しい。
お昼からは、リヒトの店へと出向いた。店内には、大工さんが二人。最終確認をやっているらしく、私たちを出迎えてくれた。白髪のゴツイ見た目の大工の棟梁のジルドと、その弟子で茶髪のルド。この人たちは、ゲームでも出ていたキャラだった。
お店の中は、こじんまりとした落ち着いたお店だった。カウンター席しかなくて、全席で15席ほど。でも、この村なら十分だと思う。厨房もスッキリしていて、無駄のないシンプルな作り。リヒトが確認している間、私はカウンター席で待っていた。
「莉亜、リヒトと付き合ってんのか?」
「えっ、どうして・・・。」
「ケビンに聞いた。まぁ、その・・・どうだ?暮らしの方は。」
どうやら、気にしてくれていたらしい。私の家を建ててくれたのも、このジルドたちだ。もう、随分と前の話しだけど。
「家の方なら、快適ですよ。」
「そうか・・・。その・・・すまなかったな。ウチの倅も、村の娘らに言いくるめられて、莉亜のことのけ者にしちまった。」
「気にしてませんから。」
そう言うと、ジルドのゴツイ手が私の頭に触れ掛け・・・途中で、手が止まった。ジルドの腕を阻止したのは、リヒトだった。
「莉亜は僕のものなので、お控え下さい。」
言葉は柔らかいけれど、明確に勝手に人の物に触るなと言っているようなもの。ジルドが驚いて、リヒトを見ていた。
「す、すまん。」
え、ジルドそんな簡単に謝るの?リヒトは笑顔だけど、目は笑っていなかった。
「ジルドさん、予定通りにありがとうございました。これで、店もやれそうです。」
「そうか。もし、何かあったらいつでも連絡くれ。」
「あ、ジルドさん。ちゃんと、ルディにも理解させておいてくださいね?」
リヒトの声は冷たかった。ジルドは少し顔を引き攣らせたものの、小さく頷いて帰って行った。ルディって、ジルドの一人息子。そのルディが、どうしたんだろう?
「莉亜、帰ろう?」
「うん。」
さっきの目が見間違いかと思うほど、今のリヒトはいつものリヒトだった。