第7章 農業生活七日目 (R若干指定)
店を出ると、大きな手が私の指に絡めてきた。見上げれば、いつもの甘い目をしている。そして・・・私は、羞恥に震えている。
「莉亜、明日、カミルが来るから紹介するよ。僕の店の手伝いをしてくれていた子なんだ。いい子だよ。」
新キャラが登場らしい。ちょっと楽しみだ。
帰宅すると、直ぐに夕食の準備。メニューは麻婆豆腐丼と野菜サラダにガラスープ。私の分は、少し甘口にしてもらった。中華も美味だ。甘く作って貰ったから、私でも食べやすい。
「リヒトのは辛いの?」
「定番よりは少しね。食べてみる?はい、あ~ん。」
レンゲには一口の麻婆豆腐。口に入れて貰うと、辛いけど美味しい・・・辛いけど。これが、病みつきになるってこと?
「辛いけど、美味しい。でも、辛い・・・。」
「可愛いなぁ、莉亜。」
ほのぼのと笑っている。
「ねぇ、リヒト。明日、私がカレー作っていい?」
「作ってくれるの?嬉しいよ。」
こんなに優しい笑顔なのに、さっきはどうしたんだろ?ルディって、そんな接点なんて無かったハズなんだけどなぁ。
「で、今日も僕の部屋で一緒に寝るんだよね?」
「えっ?今日も?」
「そう、今日も。いずれ、お風呂も一緒に入りたいなぁ。」
いきなりの言葉に、私の心拍数は跳ね上がった。アワアワする私を、リヒトはニコニコとして見ている。
「これからは、毎日だよ。ね?」
これは、ダメなやつだ。拒否も却下も出来ない。笑顔でごり押しされる。そして、私も・・・緊張するけど、嫌じゃない。だって、リヒトだから。
食事の後、先にお風呂に入った私。檸檬の入浴剤の香りに包まれて、リフレッシュする。そして、取り敢えずいつもより磨いておいた体。
入れ替わりで入って行ったリヒト。私は頭を乾かせる。シャンプーはラベンダーの香料入りだ。いい匂いがする。リヒトも同じ物を使っている。
その後、拍子抜けするくらい、あっさりと何もなく眠ってしまったリヒト。何もないけど・・・羽交い絞めされてる。仕方ないので、そのまま目を閉じた。
私は知らなかった。リヒトは起きていて、冷やかな目をして考え込んでいたことを。それでも、私に目を向けては穏やかに微笑む。
リヒトの手が私の頬を撫でる。愛おしそうなその眼差しのまま、額に落とされる唇。そう短くない時間のキスから、リヒトは強く抱き入れ目を閉じた。