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牧場物語生活へトリップ!?

第67章 春九日


が、私の手元を見ていきなり手を掴まれた。

「ねぇ、これってセトからだよね?処分していい?勿論、僕がもっと良い物をプレゼントするよ。いいよね?」

そう言えば、バタバタして忘れていた。左手の薬指に嵌められた指輪を自分で抜いては、差し出しているアオイの手に乗せた。

「ありがとう。」

結局、その指輪は村の架け橋からダイブされた。キラキラしたアオイの手によって。


朝食後、目の前にある畑にアオイと出ては、野菜の収穫を行っていた。アオイも、農作業が嫌ではないらしく手伝ってくれる。

そして、手際もいい。出荷箱には、いつもより多い量を詰め込んだ。マホたちも宿屋のお客さんも喜んでくれると嬉しいなと思う。

「そう言えば、病院の準備の方はいいの?」
「書物は意外にも片付けられていたから、そう忙しくしなくていいかな。何かあれば、直接訪ねて来るだろうしね。ねぇ、この裏山お昼から散策しない?」
「じゃあ、山菜でも探しに行きたい。」

昼食後、採取用の籠を腰に提げては、裏山を散策に出掛けた。春の穏やかな気候の中、何故か手を繋いで山を散策。

「気持ちは落ち着いた?」
「えっ?あ、そう言えば・・・。」
「僕が傍にいることで、莉緖の心の拠り所になればいいんだけど。」

そう言えば、そうだった。色んなことが起こり過ぎて、たった今の出来事でしか考えられなくなっている。

あんな心が痛くなる出来事があったというのに・・・。

「今は考えられなくても、いつかフト思い出す時が来ると思うんだ。その時、どうしようもない不安に駆られたら僕が傍にいることを忘れないで。僕は莉緖の味方だから。それだけは忘れないで?」

穏やかな笑顔の中、温かい言葉をくれるアオイ。

「パパみたい・・・。」
「それ・・・喜べばいいのかな?それとも、早い内に僕たちの子のパパになって欲しいっていう要望?」
「そ、そうじゃ・・・。」
「真っ赤になってホント可愛いなぁ。ほら、足元凸凹しているから気を付けて。」

アオイは優しい。ねぇ、パパ・・・今回は、信じていいの?私・・・次、同じ事が起こったら、多分・・・。

(あっ・・・優しい風?)

頬を撫でる様に、春の温かく優しい風が吹いていった。まるで、大丈夫だと私の背を押すかのように。

「あ、これって・・・。」

アオイの目が、何かに気付いたらしい。

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