第7章 農業生活七日目 (R若干指定)
何でもないように、サラッと口にしたリヒト。
「ダメだからね?」
「う~ん、善処します。」
「リヒトっ・・・ダメだからね。」
半泣きになる私に、リヒトは慌てたように頷いていた。その後、外で朝食を食べてる頃、ケビンが配達に来た。挨拶を交わした後、ケビンはリヒトに尋ねていた。
「家、いつ戻るんだ?」
「あ、僕たち一緒に住むことになったんです。」
爽やかにカミングアウト。私の顔は真っ赤だ。
「ん?ってことは・・・付き合うことになったのか。まぁ、莉亜が相手だからリヒトでさえも骨抜きにされたんだなぁ。」
えっ、逆じゃないの?
「そうですね。」
リヒト、何か認めてるし。本当は、逆じゃない?だからと言って、私が自ら骨抜きにされましたとは言えないけど。
「でも、ウチの双子が残念がるだろうなぁ。近々、リヒトに会いに行くって言ってたし。ま、それとなく俺からも話しておく。」
えっと・・・何か、良からぬフラグたったのかな?
「ナナとミナは、元気ですか?もう随分あってませんからね。」
「そうだよな。リヒトが街に行くことが決まった時は、大変だったもんなぁ。」
どんどん嫌なフラグが立っていく。
「あぁ、莉亜。双子と僕は幼馴染みなんだ。亡くなった両親と、ケビンさんが仲良くて、昔はよく一緒に遊んだんだ。」
幼馴染み・・・ってことは、双子は私より少し年上。そこで、これまた嫌な事を思い出した。双子って・・・あの赤髪の?確か、ケビンの奥さんが赤髪だったはず。
うわぁ・・・会いたくないわ~。ゲームの中だったけど、ゲームでも意地悪されるの?って驚いたんだよね。そもそも、牛乳売ってくれなかったし。
「今度、紹介するよ。個性的だけど、悪い子じゃないから。」
それはリヒトにとってだよね?売ってくれなかった後、ケビンと話す切っ掛けがあって、今の配達に至ることになったのだけど。
「わ、私は・・・遠慮します。見回り行って来ますね。」
何か言いたげな顔をしたリヒトだったけれど、私は脱兎のごとくその場から逃げ出した。
水田や畑を見回り、温室へと来た。サクランボを採取しながら、小さく溜め息を吐いた。この世界でも、対人関係でゴタゴタするなんて・・・。
リヒトにも迷惑かけそうだし・・・それだけは、嫌だなぁ。きっと、双子共々、リヒトが好きなんだろうな。