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牧場物語生活へトリップ!?

第61章 春三日


昼を過ぎても帰っては来なかった。気晴らしにパンを作る事ににした。憎しみを込めた・・・いや、少しのイライラとモヤモヤを込めた生地作り。家で作っていた時より、ずっと美味しく焼けたけれど、やはり気分は戻らなかった。

今までこんな時には兄が傍にいてくれた。一人でウジウジ悩んだりなんて・・・。こんな私だから、兄はいつも傍にいてくれたのかもしれない。それに・・・。

アオイは一方が我慢なんてする必要はないと言っていた。だったら・・・よしっ、私も病院に行ってみよう。本当は怖いけど・・・信じようって決めたんだから。

焼き立てのパンをサンドイッチにしては、病院へと差し入れを持って出かけた。20mは思ったより近距離だった。

病院に付くと、ドアを叩いた。中から顔を出したのは、レイチェルさんだった。私に気付き、嫌そうな顔をしてから勝ち誇った表情を浮かべた。

「何かご用かしら?部外者は帰ってくれない?」
「アオイ~?いる?」

レイチェルさんの嫌味なんて聞く必要なんてない。アオイから直接何か言われた訳じゃない。

「なっ!?アオイさんを呼び捨てにするなんて。それより、今は読書中なの。邪魔しないでくれない?」
「・・・あ、莉緖。」

奥からアオイが現れた。私を見た後、レイチェルさんに目を向けた。

「何で、まだここにいるんですか?お帰り下さいと申した筈ですが?」

あ、余所行きの言葉使いだ。その事に、私はやはり信じて良かったと思えた。

「莉緖、差し入れに来てくれたのか?」
「うん。一緒に食べようと思って。」
「そう言えば、朝食べたっきり何も食べてなかったから助かる。奥で一緒に食べよう。さ、レイチェルさんお帰りください。」

アオイは病院からレイチェルを締め出して、鍵をかけた。

「もっと早いタイミングで来るかと思ってたんだがな。その顔を見れば、どうやら俺を信じてくれたってところか。ありがとな。」

私の頭を撫でるアオイ。でも、本当はそんなに強い人間じゃない。信じると決めても怖いものは怖い。アオイに抱き付くと、抱き締め返してくれた。

「集中して片付けていたから、レイチェルさんは帰ったと思ってた。何やらキャンキャン吠えていたけど、右から左に聞き流してた。」
「私のこと性格が悪いとか言ってたんでしょう?」
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