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牧場物語生活へトリップ!?

第60章 春の二日


食後は一緒に後片付けをしては、先にお風呂に入って貰った。その間、建物続きの隣りへと行ってみた。そこにあるのは、色んな機材が配置してある。

大きな冷凍庫から、厨房、ワイン樽に洗剤を作る機材に燻製機など多種多様が並んでいる。

「・・・っ!!莉緖、ここに居たのか。」
「ごめんなさい。ワイン取りにっ!?」

温かい体温が、私を包み込む。

「私は何処にも行かないよ?だから、そんな寂しそうな顔しないで。・・・アオイ?」
「カッコ悪いな・・・俺。」
「何言ってんの。アオイだって人間だもん。傷つく事はカッコ悪い事じゃないよ。」
「そっか。さ、風呂行って来い。あんまり出て来るのが遅いと覗きに行くからな。」

なんてことを言いながら、私が持っていたワインのボトルに目を向けた。

「美味そう。」
「冷やしてからだから、明日一緒に飲もうね。あ、でも・・・たぶん、私は強くないと思う。」
「忘れてないか?俺は医者だってこと。ちゃんと介抱するから心配するな。これは俺が冷やしておくから風呂に行け。」

お願いしては私は直ぐに浴室へと向かった。髪を洗い体を洗って湯船に浸かる。

彼が失恋したのは、最近のことなんだろうと考えていた。まだ、吹っ切れてないくらいに真剣に付き合っていたんだろう。

羨ましいな、そんな風に好きになって貰えて。私なんて、親の経済力か外見だけしか判断材料が無かった気がする。私の中身なんて誰も・・・。

フト、寂しくなったり悲しくなったりすると、いつも兄が傍にいてくれた。本当の意味で、私の半身みたいな存在だった。

何気に窓に目を向けると、人の顔があって私は最大限に叫んだ。直ぐに駆けつけて来てくれたのは今は兄じゃなくて、アオイだ。ギュッと彼に抱き付くと、何があったのか聞いてくれた。

「そこの窓のところに人がいたの。」
「誰か分かるか?」
「あ、赤髪だった。」
「そうか。きっと逃げて今はいないだろう。ってことで・・・ちょっと離れようか。飛び込んだ俺も悪いが、この状況はちょっと・・・。」

私は思い出した。ここは浴室。そう、湯船に浸かっていて何も着ていない。慌てて湯船に飛び込んで体を縮こまらせる。

「み、見た?」
「見てないって言いたいところだが、すまない。でも、なるべく忘れるようにする。外で待ってるから、温まったら出て来い。」

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