第57章 その後の俺たち
二年と半年後、俺たちの間に子供が出来た。ゲームではあり得ない男女の双子。俺によく似た男の子と莉亜によく似た女の子。
溺愛のターゲットが増えた気がする。
子供が産まれて、毎日が戦場の様だ。それでも、俺は幸せの一言に尽きる。莉亜は毎日、忙しく時間に追われている。それでも、あのゲームの中で過ごしていた時の様に、パワフルでバイタリティ溢れる女性だ。
俺に似た子供も、莉亜に似た子供も堪らなく可愛い。それでも、俺が一番だと思うのは莉亜だ。これだけは変わらないし変えられない。
卒業して、莉亜は俺と一緒に父親の会社に入社した。色んなところから声を掛けられる前に、結婚出来たことは今でもいい選択だったと思っている。
莉亜は双子を産む前に、退職して家にいる。元々、料理もそれ以外の家事もそう苦手ではなかった俺は、莉亜と生まれて来る子供の為に手助け出来たことは良かったと思う。
「理人?」
「ん?」
「あ、そのゲーム。懐かしいね。」
父が俺にくれたプレゼント。莉亜と共に居られる切っ掛けとなった大切なもの。
「莉亜は、ゲームの中の女神様キャラ覚えてる?」
「女神様?そう言えばいたね。色々と手助けしてくれるキャラだったよね。私、好きだったんだよね。女神様。イベントで女神像の建設あったでしょ?綺麗な女神像が建てられてから、毎日磨きに行ってたんだ。」
「えっ?磨くって?」
そんなこと出来たっけ?
「隠しイベントで、妖精さんからの依頼があったんだよ。一ヵ月毎日磨いたら、ご褒美があるって。」
「えっ、そんなイベントあった?」
「いつ発生するか分からない隠しイベントで、ファンの中でも発生した人はほんの一部だったみたい。」
今度、父に聞いてみよう。俺には、発生しなかったイベントだ。
「で、ご褒美って何?」
「鍵が付いたネックレス。効能として、幸運が訪れるってものだったけど。どんな幸運かは、誰も明確には分からなかったみたい。」
鍵・・・。俺と繋げる為の、アイテム?そう思えば、俺は莉亜の幸運にあやかれたのかもしれない。そして、一部にだけ発生した隠しイベントの誰もが、きっとこんな幸運に恵まれたのだろうと思いたい。
「妖精さんの愛情ゲージもあって、三人ともMAXにしたし女神様にもお供えしまくったんだよね。」
だからなのか?