第54章 理人のお仕置き
私を呼び出した女の子も、同様に説明させられていた。私は直ぐに解放されたから、付き添ってくれていた理人と共に帰宅。
厳重注意で終わったけれど、目は付けられただろうあの人。
私はというと、帰宅するなり甲斐甲斐しく理人に世話を焼かれている。あの人が、理人のこんなところを見たらどう思うだろう?面倒見がいいなんて、誰も知らないと思う。
「あの男にも言ったけど・・・莉亜にも言える事だから。」
「えっ?」
「あの男のこと考えてるだろう?莉亜の頭の中に、存在を留めて置くな。分かった?」
少し不機嫌そうな理人に、私は頷いておいた。
「そう言えば、ブランド店で理人のオートクチュールなんてあるんだね。」
「それ・・・誰から聞いた?」
何か、不味いこと言ったのだろうか?
「神尾くんだけど。」
「・・・今は忘れて。まぁ、直ぐに分かる事になると思うけど。」
これも、素直に頷いておいた。秘密があるようだけど、直ぐに分かるって言っていたからそれまで待とうと思う。
今年のクリスマスまで、あと10日。街に出れば、クリスマス一色。私の理人へのプレゼントは・・・イヴを二人で過ごす時の料理を所望された。
「ねぇ、理人。他に何か起こるようなトラブルはない?」
「トラブル・・・。莉亜といない時に限って、声掛けて来る女の子がいる。二人で話したいって言われるけど、幾ら断わっても逞しい。」
その人は、綺麗だったり可愛かったり巨乳だったりするのだろうか?いや、するのだろうな。
「莉亜は・・・たまには、女同士とかの時間も大事だろう?」
たぶん、彼女たちに言われたんだろう。少しは息抜きをさせろと。それを素直に聞き入れてくれていたんだろうと思う。
「一緒に住んでるんだから・・・少しはって思って。」
「ありがとう、理人。」
「うん。その分、こうして家では独り占め出来るから。」
理人が乙女みたいだ。本心は違うのだろうけれど。その話しを聞いたとしても、私が何か出来る訳ではないだろう。私がいない時に、声を掛けて来るのだから。
そして、明日から冬休みという日。
寒さのせいか、温かい飲み物を自動販売機へ買い求めに来た。理人と共に。二人で暖かい珈琲を購入し、風よけのある場所で二人で飲んでいた。
死角だったからか、私が見えなかったのだろう。気軽に声を掛けて来た女の子がいた。