第54章 理人のお仕置き
自意識過剰な人らしい。知らないことはあり得ないそうだ。
「まぁ、ウチの大学で一番の有名人は三浦かもしれないけど、それでも俺もかなり有名人なんだけど。」
「そ、そうですか・・・。」
としか、言いようがない。理人、一番の有名人だったんだ・・・。
「あの三浦に彼女がいるって聞いたから、凄く期待したのに本当にガッカリしたんだけど・・・まぁ、我慢する。俺が付き合ってやるから、三浦と直ぐに別れて。」
我慢って何だよ・・・。
「有名人の三浦と俺とも付き合ったってなったら、君も嬉しいだろうし箔も付くでしょ。あ、俺は長く付き合うつもりはないから期間限定で。期間は、そうだなぁ・・・一週間我慢すればいいか。で、その間、三浦を手籠めにしたテクニック俺にもやってみて。」
散々な言い分だけ並べて来たな。何様なんだ?さて、この状況をどうしよう?容姿は・・・こういう言い方は良くないだろけれど、理人が何倍もいい。
私のことは興味本位でしかないし、思いっきり蔑まれているよね。どうして、決めつけた物言いしてくるんだろ?この人の周りは、そう言えば皆が言う通りにして来たのだろうか?
「取り敢えず、キスしとく?俺、キス上手いよ?」
私に経験は二人しかないけど・・・理人より上手いキスって想像出来ない。それに、初対面の自意識過剰な人となんてありえない。
「ごめんなさい・・・何って言われても、全然響かないし興味もない。」
「はっ?お前の気持ちなんてどうでもいい。俺の言う通りにすればいいだけだろ。」
この人・・・ちょっと頭可笑しい人なんだろうか?
「嫌だけど?」
「えっ、何言ってんの?拒否権なんて、お前如きが持っていい物じゃないから。」
やっぱり、この人可笑しい人だ。会話が成り立たないし、何だよお前如きって。じゃあ、私如きと一週間でも付き合うというその判断の意味が分からないわ!!
「あの・・・頭大丈夫ですか?」
思わず出てしまった言葉に、何処からか吹き出した声が聞こえた。振り返れば、姿を現したのは神尾・宮田の両人。吹き出したのは神尾の方。
「莉亜ちゃん、いいキャラしてる。ホント、頭を疑いたくなるような言い分だったから、莉亜ちゃんの言葉は間違ってないと思うよ。」
「で、お前らグループなんだろう?理人の周りこそこそ嗅ぎまわってたのって。」