第51章 小旅行 前半
その後、魚を捌いて・・・塩焼き中。魚の種類は鮎や山女魚などだったけれど、バケツ一杯釣れた。因みに、ここは釣り堀ではなく自然の中だ。
「はい、莉亜。焼けたよ。」
「ありがとう。」
焼き立ての鮎をかぶりつくと、ジューシーで美味しい。自然の中の焼き魚は、いつも以上に美味しく感じられた。
「理人・・・なぁ、それどうしたんだ?」
「殆ど、莉亜が釣った。ほら、そこの二つ焼けたと思うから食べれば?美味しいよ。」
参加者皆に一匹ずつお裾分けしてから、私たちは川の中に入った。あの時と同じように理人は水面に浮かび流され、私は大きな浮き輪に掴まっていた。
水色の髪じゃないけれど、水の中でもイケメンだ。
「莉亜の水着が、アレみたいじゃなくて良かった。」
「アレって、ゲームの?」
「そう。全員目潰ししないといけないところだった。」
物騒なこと言わないで。第一、理人の友達だよね?そんな事を思っていると、つま先に何かが触れた感触に私は声を上げた。
「な、何かつま先に触った!!」
「魚?ここ、結構魚いるみたいだし。」
理人が私のつま先辺りに手を伸ばし、やがて何かを捕まえた。それも素手で。
「それ・・・鱒?お、大きいね。」
「まさか素手で捕まえられると思わなかった。」
そう言った理人と顔を見合わせて笑った。
「誠っ!!これ、適当に何とかしといて。」
理人は鱒を宮田に投げた。訳も分からず受け止めてから、掴んだものが魚だと言うことに気付いて驚いた顔をしていた。
「お前ら、野生児過ぎだろ。取り敢えず、クラーボックスに入れておくな。」
そう言いながらも、笑顔でその魚を運んでくれた。川遊びの後、シャワーを浴びて部屋に帰った。
「温まった?川の水は冷たかっただろうから。」
「うん、大丈夫。」
「少し休む?まだ、日も高いし時間あるから。」
ベッドでお昼寝。理人に包まれて、暫しの休息。
目を覚ました時には、隣りに理人はいなかった。窓から外を見ると、どうやらパエリアを作っている様だ。流石、理人である。
部屋を出て、外へと行きベンチにいた二人に声を掛けた。神尾の彼女の小沼 奈緒と私を見つけた谷原 涼の彼女の天根 佐和。
「私も入れて貰っていいかな?」
「いいよ、隣り座りって。」
三人でベンチに並んで準備をしてくれている男性陣に目を向ける。