第51章 小旅行 前半
「半分食べる?」
「うん。」
即答だった。思わず笑ってしまう。
「理人!!カレー美味い。ありがとな。」
「いいよ。」
私が分けてなかったら、今の言葉を使っただろうか?カレー食べながら返事しているし。
「莉亜ちゃん、明日もお願いしますっ!!」
空になった器を持った小西が、二つ折りくらいに頭を下げていた。
「美知が食べ過ぎたから、耕介の分が無かっただろう?少しは気を使え。俺だって我慢したんだ。そして、明日は俺たち男性陣が料理当番だ。」
「じ、じゃあ、明後日。明後日、お願いしますっ!!」
もう、収拾がつかない。二人のカップルが、それぞれに欲望を口にしつつワイワイ言っている。
「じゃあ、材料もあるし、明後日はカレー祭りでどう?」
誰かの提案に、異議なしの声が上がった。カレー祭りが決定したよ。そして、期待に満ちた目が私に向けられる。
「材料のみじん切りはみんなでやる。だから、今回のより大きい寸胴鍋で頼めるかな?」
えっ?これって、断われない案件だよね?
「無理なら無理でいいから。お前らも、莉亜に押し付けすぎ。」
この空気をぶった切れる理人を尊敬する。
「理人、ありがとう。でも、みんなで作るなら構わないよ。次は、理人もお替り出来るくらいたくさん作るよ。でも・・・そんな日にち開けなくて飽きたりしない?」
あちこちから、しないと声が上がった。勿論、理人からも。
「折角だから、チキン煮込みカレーの方も作ってみようかな?理人はどう思う?」
「えっ、じゃあ、両方一度に味わえるの?何、その魅力的な提案。そんなの嫌だなんて言う訳ないよ。」
理人って、そんなにカレー好きだったっけ?でも、喜んでいるみたいだからいいのかな?
食事後はシャワーを浴びて、部屋に戻った。
「お帰り、莉亜。明日の予定だけど、みんなで川遊びになった。釣りも出来るけどどうする?」
「うん、遣ってみたいけど・・・理人は?」
「莉亜がやるなら一緒にやる。ゲームの時の様に、たくさん釣れたら面白いな。」
あぁ、そんなことあったよね。でも、現実はそこまで甘くないでしょ。そんなことを、昨晩は思っていたっけ。
誰だよ、フラグ立てたの。
私自身だった・・・。
つまり、今の理人は珍しく大笑いしている。