第51章 小旅行 前半
「三浦くんとは順調みたいだね。」
「えっ?」
「健人から聞いたの。三浦くんが、危ないくらい莉亜ちゃんに執着してるって笑ってた。」
何それ・・・執着で笑われるなんて。
「そんなに、変わったのかな?」
「三浦くんの友達に近付いて、あわよくばって考える女の子はたくさんいたんだよね。でも、誰の事も相手にしなかった。それでも勇猛果敢に近付く女の子もいたけど、拒絶の仕方が尋常じゃないの。」
それらしいことは聞いていたけど、一体、どんな理人だったんだろう?それに、見る目あるって言ってたっけ。
「女の子の話題なんて、拒絶以外で無かったのに今は正反対。三浦くんのこと、大事にしてあげてね。」
何かそのセリフ、ゲームの中のリヒトみたい。
「まぁ、私たちはそれなりに大事に思ってくれているのは分かっているんだけど、やっぱり彼女となると別物だと思うの。」
「絶対、他の誰にも莉亜ちゃんを譲っちゃダメだからね。」
ん?私を譲る?
「大丈夫、面倒事は三浦くんが何とかしてくれる。安心して守られていればいいから。」
「ありがとう。みんなもいつも気遣ってくれるのが、凄く嬉しい。ちょっと、人間関係に悩んでたから・・・。」
「元友人たちのことも、気にしなくていいよ。」
理人は、概ねの話しをみんなにしてくれていたんだろうと思う。
「うん、ありがとう。」
「本当はみんなも、莉亜ちゃんともっと仲良くなりたいって思ってるんだけど・・・三浦くんのガードが凄くてね。女同士だって言っても、一番の人付き合いは三浦くん自身がいいんだって。」
「えっ、そんなこと言ったの?」
本当に執着以外の何ものでもない。
「息が詰まりそうになったら、いつでも相談してね。健人に助言してもらうから。」
「うん。」
息が詰まるか・・・。ゲームの中でも散々だった。だから、たぶん大丈夫だと思う。私だって、理人と一緒にいたい。
「莉亜。」
「理人。何か手伝う?」
「ううん。準備出来たから呼びに来ただけ。みんなも行こう。」
理人の作ったパエリアは最高に美味しかった。魚介のアヒージョや、豚汁やサラダや揚げ物など種類も豊富で色々と楽しめた。
二日目の夜も、おあずけのまま就寝。理人に何かしてしまったら、色々と大変なことに鳴り兼ねないから大人しく・・・。