第50章 処罰とご対面
タイトルは牧場系のもの。古いものに見えるけれど、商品として売り出されたものではないらしい。パッケージに描かれたキャラを見て、理人の母親と似ていることに気付く。
「これは、私が駆け出しのころに妻に送ったプレゼントなんだ。キミにも覚えがるんじゃないのかな。例えば・・・ゲームの世界で生活していた事とか。」
理人も驚いていることから、知らなかったことなのだと分かった。
「理人から聞いた時、驚いたけれど懐かしいと思ったんだよ。私たち夫婦も、このゲームの中で過ごしたことがあったからね。」
「楽しかったわね。ゲームの中での生活は。あ、勿論今も楽しいけれどね。」
「私もだよ。ただ、あの一度だけしか起こらなかったのが残念だったけどね。でも、私も妻・・・その時はまだただの同僚だったけれど、本当に楽しかった。」
懐かし気にゲームを見ている二人に、私たちも同じ経験をしたのだと分かった。そして、それが一度しか起こらない奇跡。
「まさか、息子たちが同じ事を体験したなんて驚いたわ。で、一つ聞きたいことがあるんだけど。ゲームの中で結婚式ってやれた?」
「その前にこっちに戻ったよ。」
「そう、私たちと同じなのね。残念ね。」
そのゲームの中の生活のことで、二人は本当に付き合うようになって結婚したらしい。
「父さんって、その時に母さんのこと好きだった?」
「具体的にまでじゃなかったけれど、気にはなってたよ。」
シチュエーションと言うか設定が、私たちとそう変わらないものだったようだ。それでも、ずっと大事にそのゲームソフトを持っている事に嬉しくなった。
「で、卒業したら目指す未来はあるのかな?」
「私ですか?まだ、具体的は。」
「それなら、ウチにおいで。理人と一緒に。」
理人が行くことは決まってるの?あの会社って・・・。
「莉亜の好きにすればいいよ。父さんの提案を負担に思う必要はないから。俺は後継者だから、選択肢は無いけど。」
「後継者って?」
「言ってなかったっけ?父さんはあの会社の社長だよ。因みに、副社長が幼馴染みの父親。父さんたちも幼馴染み同士なんだ。」
全然、知らなかった・・・。理人のお父さんは魔法でも使えるのだろか?なんて、おかしなことを考えてしまう。
「就職のことは気が向いたらでいいよ。で、いつくらいに結婚するんだい?」
爆弾発言だ。
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