第49章 後期の学校の始まり
恥ずかしい思いもしたけれど、初日の学校は楽しかった。みんな根掘り葉掘り聞いて来ないし、気遣ってくれる。私を責め立てた且つての友人たちとの付き合い方は、私の何かがいけなかったのだろうかと思ってしまう。
ボンヤリしていた私だったから、元親友は扱いやすかったのかもしれない。私を陥れることに躊躇無かったし、回りだって・・・。どんなに上手く立ち回っていたんだろう?
また、あんな風な事になったら・・・次は、立ち直れるかな?
あれ?今、理人に肩を抱き寄せられている。あの・・・学校ですよ?それに、回りの友人たちは何も言わない。スルーされてる。でも、恥ずかしい。
理人からそっと離れようとしたけれど、ビクともしない。結構強めに、理人の体を押したんだけど。
「理人、ちょっと近い。」
「ん?うん。」
えっ?それで終わり?何で、それが何か?って顔してんの。
「莉亜ちゃん、俺たちのことは畑に植わっている野菜くらいに思ってればいいよ。」
そんな事を言いつつも、陽キャメンバーだって仲良しだよ。当たり前に腰に腕を回している人や、仲睦まじげに談笑中の人や・・・そうか、みんな同じ?
いやいや、だからって良いって事じゃないよね?
チラッと顔を見ようとすると、抱きかかえられる。私の頭には理人の顔が埋まってる。そう、埋まってる。
これじゃ、端から見たら溺愛されてる様に見えることないかな?
「あ、あの・・・理人?」
「今、俺の顔見るのはダメ。たぶん、キスする。」
理人のカミングアウトに、私は固まった。えっと・・・ここは学校で、教室の中で・・・休憩時間。うん、間違ってない。で?キスするって何?
それでも、先生が来て当たり前に講義が始まる。数時間後・・・私は色々と精神的に疲れた。放課後、それぞれに解散。バイトに行く人、帰宅する人、デートに行く人と様々だ。
「莉亜。」
理人の手が差し伸べられる。それを受け取り、握り締めてハタと気付く。そっと放そうとしたけれど、それより先にしっかり握り締められてしまった。そう、恋人繋ぎで。
「あ、あの・・・。」
「俺は繋いでいたい。」
明白な思いを告げられ、私は頷くことしか出来なかった。だって、嫌なんじゃない。ただ、恥ずかしいだけだから。
「でも、慣れって怖いなぁ。違和感なんて、全然無いから。」
ごもっともです。