第49章 後期の学校の始まり
移動教室の為に階段を上がり、目的の教室に入る。そして、今回も囲われている。回りはいつものように賑やかに盛り上がっているけれど、私は全然ついていけてない。
でも、理人が隣りで私の肩に腕を回して引き寄せる。いやっ、ここは学校だから!!理人を押し退けようとしたけれど、それは無駄に終わった。
友達たちは、こんな私たちのことを揶揄う人もいない。温い目で見られることもない。普通なことかのようにスルーされている。それって正解なの?
「理人って・・・足長いね。」
「ん?そう、か?普通だと思うけど。」
流石に、普通じゃないからという突っ込みが友人たちから入る。私も同じ気持ちだ。肝心の本人は、突っ込まれた意味を理解していない。
「理人って相変わらずだよな。昔っから、そういうとこ無頓着と言うか興味ないと言うか。」
理人の幼馴染みから、呆れたような声。
「俺は別に、莉亜にさえカッコイイって思われていればいい。」
「莉亜ちゃんだけじゃなく、他にもたくさんそう思っている人はいると思うよ。」
「気のせいじゃないか?」
何でもないように言い放つ理人に、そういうヤツだよなとジト目を向けている友人たち。
「ま、それでこそ理人らしいんだけどな。」
「理人がチャラかったら、色々と大変だっただろうな。本当に色んな意味で。」
チャラい理人・・・想像出来ない。人当たりは悪くはないのだろうけれど。接点なかった頃の私にすら、普通にゲームの話しを振ってくれる人なんだし。
「そもそも、枯れてたもんな。どんな美人や可愛い子や巨乳に誘われても、拒絶の言葉しか言ってこなかったし。それも完膚無き拒絶だから、むしろ潔すぎ。」
どんな拒絶をしたのやら・・・。
「そうだったっけ?全然、覚えてない。」
「莉亜ちゃん、理人に優しくされてる?」
いきなり話しを振られて吃驚した。
「それは、うん。」
「それを聞いて安心した。正直言って、俺たちこれでも結構驚いてるんだよね。理人の変貌ぶりに。だって、あの枯れてた理人だよ?何だよ、性欲が止まらないって。あ、ごめん。余計なこと言った。」
私は一気に顔に熱が集まる。これを素でやられてしまうと、怒るにも怒れない。ただ、何でお前みたいな一般人がって言う思惑とかはないみたいで、純粋に驚かれているのが分かるから不快などは感じない。