第48章 現実ともう一度の初めて
瓶の種類は可愛いものにしてくれたけれど、中身は理人と同じものを見繕ってくれた。
「俺としては、あんまり甘ったるいの得意じゃなかったから、正直言って良かったかも。」
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
時価らしく、現実は見せてはくれなかった。何か、本当にごめん。店を出ると、女の子たちが声を掛けて来た。私が隣りにいてもお構いなしだ。強者である。
が、現実の理人は塩対応どころじゃなかった。先ず、存在を認めない。そう、無視である。更に、ご機嫌で私の肩に腕を回しては抱き寄せられた。居たたまれない・・・。
でも、強者はそんなことでへこたれなかった。進行方向に回り込んで来ては、視界に入ろうとして来た。が、立ち止まった理人は私に目を向けた。
「別荘付いたら、直ぐ抱いていい?」
これには、女の子たちだけでなく私も固まった。今、何って言いましたか?
「今まで、性欲って無かったんだけど、やっぱり好きな子目の前にしたら、今までを取り戻すかのように・・・で、どう?やっぱり、風呂入ってからがいい?」
一人で話しを進めてる。
「莉亜?」
目を覗き込まれれば、あの蜂蜜色の瞳と視線が合わさる。
「直ぐでいい?」
彼の中では、一択ではなかろうか?覚悟はしていたけど、こうも露骨に言われるなんて思いもしなかった。
「うんって言って?じゃないと・・・ここで、すっごい濃厚なキスしちゃうかもしれないけどいいの?」
「わ、分かったから。うん、直ぐにね!!さ、行こう。」
恥ずかし過ぎて理人の言葉を肯定しては、女の子たちを擦り抜けて駐車場へと向かった。固まったままでいてくれて良かった。私の羞恥が死ぬところだった。
そして、私に手を引かれている理人は、笑っているようだった。で、理人の提案は冗談なのではなく、真実なんだと分かっている。分かっているから、何も言わない。
「莉亜が、すごくやる気になってくれて嬉しいよ。でも、夕食たべてお風呂出てからでいいよ。それくらいなら、待てると思うから。一応は、こっちでは初めてだもんね。」
少しばかりの気遣いを見せられたけれど、結果は変わらない。でも、そうか・・・。現実では初めてだ。ゲームの中では、ほぼ毎日だったのに。
「ちゃんと腹筋見せてあげるから、楽しみにしてて。」
「あ、ありがとうございます。」