第48章 現実ともう一度の初めて
「莉亜の元親友の井沢さんだっけ?本当の理由、周りに明しておいたから。学校が始まっても、心配ないから。あぁ、近い内に友達の彼女を紹介する。いい子ばかりだから、直ぐに仲良くなれると思う。一方の話しを無条件に信じるような輩には、莉亜は勿体ないよ。」
えっ、何か展開に付いていけない。確かに、友達だった人たちのことはそうだとは思うけど。もう仲良くしようだなんて思えないし。それは構わないんだけど・・・。
「勿体ないって言われる程、いい人じゃないよ?」
「そうかな?少なくとも、俺はそう思ってるけど。まぁ、学校が始まったら色々とあると思うから、いつでも俺の傍にいればいい。俺も、精一杯莉亜を甘やかすつもりだから。」
「そ、そんなのダメだよ。ダメな人間になっちゃう。」
理人は立ち止まり、私の頭を撫でた。そして、触れるだけのキスをする。驚き過ぎて目を見開いたら、理人は楽し気に笑った。
「そういうところだよ。莉亜がいい子なのは、俺が保証するから気にしなくていい。って、大丈夫?キスなんて、いっぱいしたよね。」
「あ、あれはゲームの中だったし、今は違うから。も、もう・・・恥ずかし過ぎて、頭がパンクしそう。」
「う~ん、そっか。分かった。なるべく自重する。真っ赤になった莉亜の顔そそられるし、他の男に見せたくないから。あ~、でも我慢出来るかなぁ。ちょっと自信ない。」
真剣な顔でそんなことを言う理人と私は、顔を見合わせて思わず笑った。
「なるべく、莉亜が嫌な思いをしないようにはする。それでいい?」
「うん。理人を信じるよ。」
「うわぁ、さり気なく牽制されてる気がする。でも、善処します。」
で、ここは観光地。つまり、イケメン理人は女性客から熱い視線を向けられる訳で・・・。つい、現実でもコレ!!なんて思ってしまっていた。
「最後に、ここに寄りたいんだけどいい?」
それは、香水のお店だった。そう言えば、理人からいい匂いがする。このお店では、オリジナルのものを作ることが出来るらしい。
「莉亜はどんな匂いが好み?」
「えっ、理人。」
「俺?う~ん、まぁ、俺が使ってるのはユニセックスものだし、じゃあ、同じでいい?」
幾ら同じ香水でも、使っている人の匂いで全く同じ匂いにはならないらしい。理人の匂いと言ってしまったけれど、本当に良かったのだろか?