第48章 現実ともう一度の初めて
「ゲーム内では散々甘やかされたんだから、現実でくらい俺が甘やかさないと気が済まないから?」
「え、でも、あれはゲームであって・・・。」
「莉亜は、本当に律儀で真面目。彼氏なんだから、甘えておけばいい。俺も出来ない事は、出来ないって言えるから。さぁ、次に行こう。」
戸惑う私の手を引いて、人通りの中に戻る。
「莉亜?」
「うん?」
「そんなに気になるなら、アレを使って俺に何かご馳走してくれればいいから。」
悶々と考え込んでいた私を見兼ねたのか、そう提案された。
「うん、分かった。あ、でも・・・やっぱり、理人も甘い物苦手?」
「やっぱり訂正。甘い物以外でいい?」
そうか、やはり苦手なんだ。
「うん、分かった。」
「ってことで、ここに入ろう。」
手を引かれて入った場所は、パン専門店。ここも配送できるそうで、理人の家に送って貰うことになった。大きなバゲットや食パンなどを注文した。
「ってことで、三日後、ウチに来て。で、そのまま泊って行けばいいよ。」
三日後って、夏休み中だけど他の友達とかと会わないのかな?それにバイトだってしているみたいだし。
「どうかした?」
「友達と会ったり、バイトとかもいいのかなって。」
「あぁ、友達が莉亜を見つけた時点で理由分かってると思うから、無粋に邪魔して来たりしない。バイトはウチのPCでやれるから問題ないし。」
友達に何言ったんだろう?それに、理人の友達って凄く人生を謳歌している陽キャな人ばかりだったはず。
「これでもさ・・・結構、浮足立ってるんだ。莉亜と出会えて。それに・・・あんなことがあったんだから、それを払しょくするくらいいい思い出作りたいよね。」
「理人・・・本当に私で大丈夫?」
「ん?俺、人を見る目は良い方だと自負してるから。」
そうですか。そう言われたら、もう何も言えない。
「って言うのは、半分は本当だけど・・・半分は、やっぱり好きだから。だから、莉亜も諦めて俺で我慢して?」
「が、我慢だなんて。私だって理人が好きだし、人を見る目は残念ながら良くは無い方かもしれないけど・・・。」
ゲームの中のリヒトとは少し違うけれど、やっぱり優しくて大事にしてくれてるのは分かるから。
「あ、それと・・・誤解は解いておいたよ。」
「誤解?何の?」