第41章 農業生活 夏 八日目
「ありがとう。ねぇ・・・本当の意味で、僕は莉亜を大事に出来てる?僕なりに頑張ってるつもりだけど、時折、不安になるんだ。」
「リヒトと出会った日に決断した事、後悔なんて一度も無かったよ?」
「うん、ありがとう。」
カミルが戻って来て、私はシャワーを浴びに行った。暑い日でも、熱い湯の方がサッパリする。
手早く支度をして、キッチンに戻る。ん?何か、カミルがいつもと違う様な・・・。何かったのだろか?リヒトは・・・うん、いつものリヒトだ。
「莉亜、ご飯にしよう。今日は少し早めにお店を開けるよ。」
「どうして?」
「ローランさんが来るんだ。ホラ、浴衣と新しい服を持って来てくれるって。」
それは楽しみだし、お客としても来てくれるんだね。夏のイベント、ほたる祭りは楽しみだ。
リヒトが作った珈琲ゼリーを、ランチ後に食べさせてくれた。ビックリするほど美味しかった。苦いのは苦手だったけれど、上に乗ったメレンゲと合わせて合わせて食べると丁度いい。
カミルも夢中で食べている。リヒトは・・・もう、二個目食べていた。本当に好きなんだな・・・。
食事の後、二階に上がって読書。見ただけで辟易しそうな厚みを眺めていると、リヒトがアイスティーを持って来てくれた。
「ありがとう。」
「ゆっくりしてて。じゃあね。」
唇に触れるだけのキスをしては、部屋から出て行った。改めて、気合を入れて書類に目を通し始めた。読んで思ったこと。
「攻略本みたい・・・。内容は農業系のものだけど、攻略本並だね。凄いなぁ、コーラル。このデータを集めて集計したんだ。」
でも、結果的に私の畑は、簡単に真似出来るものではないと思ったらしい。他の一般的な農業をしているところで、色々と体験し話を聞いた様だ。
因みに、私の畑の収穫量は、申し訳ないくらい別格だった。量にしても、質にしても。単価が高価だし、その上、量もあるからそれに比例して財政も潤う。そして、その資金を使わなくとも高性能な肥料を自家生産として作ることが出来る。
この数年の頑張りは、無駄ではなかったことだ。コーラルは、見やすいようにグラフや表で表してくれていた。
最後のページは、コーラルの謝罪の文面だった。如何にものを知らなくて、如何に浅はかな行動を取ってしまったかという意味を理解したと書いてあった。