第41章 農業生活 夏 八日目
この数日で、よくここまで纏められたと感心した。コーラルとの仲は、まぁその内に。直ぐに許さなくてもいいと書いてあったし、許さなくてもいいとも書いてあった。
読み終わって、椅子の背にもたれては息を吐いた。うん、内容は十分だ。そして、謝罪については・・・日にち薬的にってことで。私はコーラルに手紙を書いた。
「莉亜。夕飯だけど。」
「リヒト・・・。」
「全部読んだんだね。」
私は思ったことを、リヒトに伝えた。そうしたら、頭を撫でられた。
「莉亜がそう決めたのなら、僕はいいよ。でも、二度目は無いからね。」
「うん。ちょっと、目が疲れちゃった。」
キッチンへ運ぼうかとリヒトに言われて、慌てて立ち上がってリヒトの背を押してキッチンへと向かった。
今日も、カミルの姿は無かった。区切りのいいところで、店を閉めたらしい。私はリヒトに、カミルのことを聞いてみた。
「カミルが何か違ってたって?あぁ、カミルを頼りにしてるって言ったんだよ。」
尊敬している人にそんなことを言われたら、嬉しくない訳ないよね。可愛いなぁ、カミル。夕飯のハムステーキと野菜の煮びたし、味噌汁。リヒトの料理を大事に食べた。
入浴後、寝室で浴衣と新しい服を見せて貰った。今回は、驚かされることはなかった。リヒトとお揃いの布地で、とてもいいものだった。更に、ワンピースも夏仕様。明日から着てみよう。
「早く莉亜の浴衣姿、見たいなぁ。ほたる祭りが楽しみだね。」
「うん。私もリヒトの浴衣姿が見たい。きっと、素敵だと思う。」
「ワンピースも似合うと思うよ。流石、シノンさんだね。」
全くもって、その通りだと思う。リヒトは、上下を三着誂えて貰った。リヒトの夏服も見たい。お互いに、明日に着ることになった。
今日の夜は、ただリヒトの腕の中で眠る。執着が無くなることはなかったけれど、それでも居心地がいい。
おやすみのキスだけをして、私は直ぐに意識を手離した。
大きくて優しい手が、私の髪を撫でる。その撫でる手も、やがて止まる。
「莉亜・・・好きだよ。おやすみ。」