第40章 農業生活 夏 七日目
「莉亜、カミル、そろそろ戻っておいで。飲み物を用意するから、シャワー浴びて来て。」
二人で返事しては、家の中に戻る。
「カミルくん、先に行って来て。」
「分かりました。お先に。」
私は先に飲み物が欲しい。
「冷たいお茶出来てるよ。」
「ありがとう!!」
夏茶葉の冷えたお茶は、甘くてさっぱりして美味しかった。リヒトが作ってくれていたようで、火照った体を冷ますことが出来た。
「このお茶もきっと、たくさん出るだろうなぁ。夏にピッタリの喉越しだね。」
リヒトも口にしては、微笑んでいる。
「あ、そうだ。今日はピザだから、楽しみにしてて。」
「そうなの?乗せる具材は?」
「トマトとバジル、チーズの定番かな。」
定番は外せない。楽しみだ。
「お昼からの予定は?」
「予定?う~ん・・・お茶のプリンでも作ろうかな。折角、茶葉がたくさんあるからね。」
「それはいいね。でも、その後は少し休んだ方がいいよ。今日は特に暑いから、無理しないでね?」
そうだ、今日は猛暑。いつもより風が少なかった。こんな日こそ、川遊びしたい。でも、リヒトと行きたいからお預け。あ、あの書類読まなくちゃ。
カミルが戻って来て、私は入れ替わりシャワーを浴びた。あ~、汗と共に不快感が消えていく。
シャワー後、キッチンに戻ればピザが焼かれていた。直径20cmほどのマルゲリータ。スティック状にカットされた野菜と、豆スープ。二人はしっかりとお替りして、二枚食べていた。
食事後、再び作業場。収穫し加工したお茶の粉と牛乳など材料を用意しては、大鍋でプリン作り。そう、大鍋。そもそもそこから可笑しいと思わなければならない事に私は気付かない。
作業場では、プリンの香りが充満。そそられる。冷やし固めている間、生クリームでメレンゲを作る。今回は茶粉をブレンドした、緑色のメレンゲ。お茶づくしである。
「莉亜さん、カミルですけど。」
「あ、どうかしたの?」
「ワインシャーベットいただけますか?」
どうやら、完売したらしい。そして、ワインの方が人気だったようだ。冷凍庫から出した容器をカミルに渡す。そう、ついでに普通のシャーベットも。
「あ、シャーベット・・・まだ、あったんですね。これなら、残りそうかな。」
心の声が駄々洩れのまま、足取り軽くキッチンへ戻って行った。