第39章 農業生活 夏 六日目
「あ、莉亜。きのこ小屋にいたんだね。これはまた、随分多く収穫したんだ。」
「リヒト、ありがとう・・・えっと、その大きい西瓜とメロンは・・・。」
「肥料の恩恵の賜物じゃないかな。土そのものも潤っているわけだから。特にメロンの近辺は、甘い匂いで凄い事になってるよ。カミルがうっとりとして収穫してる。」
まるで、面白いよと言葉が続きそうな。楽しんで頂けたなら何よりです。嫌々より、ずっといい。
「リヒト、カミルくんにメロンをお裾分けするね。」
「ありがとう、凄く凄く喜ぶと思うよ。」
そっか、凄く凄く喜んでくれるんだね。私も嬉しいよ。
「あ、夏の茶葉?いい香りだね。」
「うん。冷たく冷やしたお茶飲みたいね。」
「リヒトさ~ん、収穫終わりました。」
カミルの手には、大きな籠。その中にはメロンのみ。
「ありがとう、カミルくん。重かったでしょう?」
「大丈夫ですよ。」
「カミル、メロンお裾分けしてくれるって。」
あ、カミルの目がキラキラしてる。もう、隠さなくなった?
「ありがとうございます。生きてて良かった・・・。」
それは言い過ぎでは?でも、そこまで喜んでくれたのなら、私も嬉しいです。
「じゃあ、三個くらい持って帰って。」
「いえ、一個で十分です。その代わりと言いますか、お願いがあるんですけど・・・。」
カミルは、家で消費する野菜を定期的に購入したいと申し出た。それくらいならいつでもOKだ。二人家族だし、そう多い消費量じゃないもの。
「リヒトが決めていいから、一定の金額を受け取って。作物はその都度、適当に欲しいものを持っていけばいいから。」
「分かったよ。良かったね、カミル。」
そう言えば、一定額支払って定期的に購入するサービスとかあったよね?ご当地の野菜とか旬の作物とか。
「カミル、先にシャワー浴びておいで。僕たちは後で一緒に入るから。さっき説明したから、場所分かるよね?」
「はい。ではお先に。」
リヒト・・・一緒にって、ワザワザ言わなくてもいいと思うんだけど。
「ごめんね、先にカミルに行かせて。」
「ううん、それくらい全然いいよ。ねぇ、メロンってどうやって食べたほうがいいかな?」
カミルが収穫してきたメロンに目を向ける。それにしてもサイズが通常の西瓜並の大きさである。肥料って、凄いんだね。