第4章 農業生活四日目
桜チップには、リヒトが火を付けてくれた。後は、待つのみ。明日の朝には、燻し終わっているだろう。楽しみとして待っていよう。
「リヒトさん、私、倉庫に行って来ます。」
「倉庫?作業するの?」
「小豆ともち米、持って来ます。」
そして、リヒトは私の両肩に手を置いた。何か、変なことを言ったのだろか?行き先を言えばいいのではなかったのかな?
「莉亜、僕も手伝うよ。ね?」
「は、はい。」
どこまでもフェミニストなのかもしれない。断われなかったので、倉庫へと二人で来た。つい、シード機を撫でてしまう。これを買った時が、一番嬉しかったからかもしれない。
作物をレベルMAXまで育てたものを、この機材で種や苗にして・・・今に至るのだけど。品質上げるたびに、価値が上がっていったんだよね。
作物としても、種や苗としても・・・。それでも、普通の畑に植えるだけでは最高級の作物にはならないのだけど。やっぱり、そこは畑などのレベルも必須。
「ねぇ、莉亜。これって・・・カカオ?」
棚に並ぶものを見ているリヒト。確かに、温室の中にはカカオも育てている。そして、ここにあるカカオは採取したもの。イベント用にお菓子作りがあったのだけど、その時に使うくらいだった。
単純に、そこまで手が回らなかっただけ。大量のカカオ豆が専用袋に入っている。そして、そのイベント以外では使っていないまま。
そして、その隣りには目的の小豆。籠に必要な分だけ移しては、一先ず出入口側に置いておく。次は、もち米だ。
「莉亜、ここも綺麗に整頓されているね。」
それは、ゲーム補正だと思われる。有難いのだけど。柱には、何が置かれているか見取り図があるし。もち米も必要分容器に入れてこれでお仕舞い。
「リヒトさん、どうかしました?」
さっきから、見取り図に見入っている。何か気になるものでもあるのだろうか?
「リヒトさん?」
「あ、ごめん。つい、見とれてた。ここは、農業始めて4年だったよね?そう、ケビンさんに聞いたのだけど。ここの種類は、個人のものとは思えない規模だよ。」
「少量を大事に育てて増やしましたから。一人だから、その中でどうすればいいか考えて、品質重視で育てたんですよ。」
最初からお金儲けに走ったら体力的にもキツイものになるから、只管、最初は10個の内の2個だけに肥料をあげるとかにしていたんだ。