第36章 農業生活 夏 三日目
「ん~っ!!美味しいっ。果実を入れたから、砂糖は少な目にしたけど、そっちが正解だったかも。」
美味しいけど、どれも一口のみの試食。本心はもっと食べたい。でも、我慢。リヒトにタプタプになったお腹を撫で回されたくなどない。
時間もそこそこいい時間だ。で、この量をどうする?一つ3㎏くらいの容器が・・・12個。取り敢えず1個持って行こう。
キッチンに行くと、二人は忙しく動いている。そう、忙しく・・・。さて、どうしよう?
「莉亜、作業は終わったの?」
「あ、うん。」
「その容器、特大サイズだよね?因みに、それが何個あるのかな。」
どうやら、お見通しらしい。
「えっと・・・後、11個?」
目が合わせられない。きっと、驚かれていると思う。
「ローランさん、クベル、暇だよね。出荷箱に運ぶの手伝ってくれる?代わりにアイスご馳走するから。」
カウンターを見れば、料理待ちの二人が居た。
「あぁ、いいぜ。手伝ってやるよ。」
「僕も構いませんよ。」
「あ、ありがとうございます。」
すみません・・・何か、申し訳ないです。
「莉亜、案内して?」
「う、うん。分かった。あ、これはお店用に使ってね。」
カウンターに容器を置いて、二人を伴って作業場に向かう。
「何か、凄い甘い匂い。あ、これを運べばいいのか?」
「はい。お願いします。」
これくらいなら5個くらい一度に持てると言って、本当に二人は運んで行った。流石、男子!!ありがとう。
そして、残りの一個は冷蔵庫に保存。キッチンに戻ると、リヒトがいなかった。あれ?
「カミルくん、リヒトは?」
「出荷箱へ行きました。」
どうしたんだろう?気になったので、私も後を追って出荷箱へと向かった。確かに、三人がいた。
「リヒト?」
「あ、莉亜。出荷分減らして貰うから。」
「それはいいけど・・・。」
リヒトの手には、2個の容器があった。
「そんなに美味いのか?」
「そんなにです。」
「へぇっ、リヒトさんがそこまで言うなら、俺も食べてみたいですね。」
リヒトは、味見したんだ。それで、二人を追いかけて行ったってこと。ヨーグルトだけど、プリン並みにプルンプルンしている。
何故か二人はアイスは食べるけれど、正規の注文としてヨーグルトも食べるらしい。毎度あり?
そして、閉店時には完売した。