第36章 農業生活 夏 三日目
追加で購入を・・・と言い掛けたけれど、笑顔で結果がそう変わる訳じゃないと言われ撃沈した。
「それに、村がこういう時だからね?」
確かに・・・仕方ないので、村に貢献しておこうかな。幾ら腐らないとは言え、収納出来ないと困る。適量を残して、どんどん出荷していこう。
「ねぇ、リヒト。天気予報出来るの?」
「匂いに敏感なだけだよ。それに、湿度がいつもと違うから。」
雨だと予想するリヒトの予報は、必ず当たる。
「あれ、この桃はどうするの?」
「ワインにするよ。ほら、ソーダ割りが結構出るって言ったよね。特に、桃は人気だよ。口当たりが柔らかくてまろやかで甘いから飲みやすいみたい。莉亜も好きでしょ?」
「うん。割らなくても好き。」
そんな話しをしていると、カミルが来た。
「何か、家の周りで桃の匂いが凄いんですけど。」
「あぁ、出荷したからじゃないかな。」
リヒトが遠い目をして、カミルに答えている。因みに、桃って単価幾らだったっけ?サクランボが1000円。じゃあ、桃は?
「ねぇ、桃って単価幾ら?」
「700円だよ。特大サイズになると1200円だったかな。」
特大サイズ・・・。さっき、肥料蒔いたっけ?でも、通常の桃は700円なんだ。サクランボより安価なんだ。解せない。
「そう言えば、サイズは通常のものばかりだよね。特大サイズばかりだったら、もっと収納出来なかったから良かった・・・ねぇ、莉亜。何か顔色悪いよ?まさかと思うけど・・・。」
「さっき、サイズが大きくなる肥料・・・蒔いちゃった。」
リヒトが、こめかみを手で押さえている。何か、ごめん。
「あ、あの・・・良かったら、店の前に収穫手伝いましょうか?」
「ありがとう、カミル。頼むよ。勿論、僕も収穫するけど・・・あぁ、そうだ。いい人材がいる。」
何となく想像つくけど、黙っておこう。この世界に来て、初めての特大サイズだ。どれほどのサイズになるのだろう?ちょっとだけ楽しみである。
さて、三人で昼食を食べて、私は作業場に行った。特大サイズの容器をたくさん用意して、私は只管機材に牛乳と果実を入れまくった。
作業場には、色んな果実の香りが漂っていく。容器の中は、出来上がったカラフルなヨーグルトが積み重なっていく。そう、積み重なっていくのだ。今回は、キウイを混ぜたヨーグルトを試食。