第4章 農業生活四日目
「いい経験させて貰ったよ。疲れてない?もし疲れたなら、燻製機は明日でも構わないから。」
「大丈夫ですよ。リヒトさんの美味しいご飯食べたら、もっと頑張れますし。」
「期待に添えられればいいのだけど。お昼は親子丼と、なめ茸のお味噌汁だよ。夜は豪華にするから、期待してて。」
豪華って、何だろう?楽しみだなぁ。
オープンテラスでのランチは、本当に癒される。
「んっ!!卵がフワフワ。鶏肉もジューシーですね。美味しい。」
「喜んで貰えて良かったよ。」
丁度、その時馬車の音が聞こえてきた。現れたのはケビン。三日ぶりだ。そう言えば、配達は三日毎だった事を思い出した。いつもの卵や牛乳、日用品にまで補充して貰っている。
「お前達、随分馴れ合ったようだな。今、ランチ中か?」
「配達ありがとうございます。朝は田植えしてましたから、お昼がこの時間になってしまったんですよ。」
「荷物はいつものところに下ろしておくぞ。しかし、いい匂いだな。」
リヒトさんが手早く食べ終わり、荷物を下ろすのを手伝い始めた。私も・・・と思ったけれど、リヒトに止められ有難くランチを続ける。
食事が終わりお茶を飲んでいる頃、荷下ろしが終わった様だ。明細を見せて貰って、お礼を告げた。内容はリヒトが、確認してくれたらしい。よく気が付く人だ。
「なぁ、莉亜。何か甘い物はないか?」
「甘い物ですか?例えば、系統で言うとどんなものですか?」
「そうだなぁ・・・小豆系がいいな。その・・・ウチの嫁に強請られてな。ほら、誕生日だから。」
誕生日・・・そう言えば、親愛度のゲージを上げるのに会話やプレゼントがあったな。今は、出荷するだけで親愛度が上がるようになっているけど・・・。
でも、小豆かぁ・・・。何かあったっけ?
「豆大福なら、冷蔵庫に入っていたけど。」
「豆大福・・・。」
確かに、そんなものを作った記憶はある。ちょっと、現物を見に行こう。待っていてもらい、冷蔵庫を覗きに行った。
「えっと・・・豆大福は・・・。」
「一番上の棚にあるよ。」
背後から、急にリヒトの声。びっくりして、体を跳ねさせてしまった。心臓に悪い人だ。
「あ、これ。」
確かに、豆大福と書いてある。蓋を開けると、中には10個の豆大福が入っていた。因みに、このもち米も小豆もそこそこ材料費は高価な部類だ。