第4章 農業生活四日目
朝食は初めてのご飯もの。キノコの炊き込みご飯と出汁巻卵にハム。そして、キャベツの浅漬けと葉野菜のお味噌汁。
力仕事には、やはりご飯がいい。今日もいい天気だし、頑張って働こう。畑と温室の見回りを済ませ、農具を持って水田へと行った。
リヒトと共に5つのエリアの土を耕していく。私とて、見様見真似で鍬を扱っている。土質は思ったより柔らかく、サクサクと耕して行けた。その後は、水を田に張っていく。
その間、休息。リヒトが持ってきてくれた柑橘水と、ジャムを挟んだクラッカーを食べて一休み。美味しくて癒される。何となく、体力が回復した気持ちになった。
「莉亜は、これを一人でやってたの?」
「そうですね。」
一人暮らしだし、ゲームの中だったけど。誰かが手伝ってくれる、とか無いよね。全てが一人。だって、ゲームだから。
「楽しいですよ?明日に回しても誰かに怒られるとかないですし、まぁ、全部自己責任にはなりますけど。」
「楽しい、か。前向きだね、莉亜は。僕も負けてられないなぁ。」
リヒトは笑って、空を見上げた。
「さ、続きも頑張ろう。」
先に立ち上がって、手を差し伸べてくれた。その手を取れば、引っ張り上げてくれた。意外にゴツゴツした大きくて男の人の手。
さて、ここからエリア毎に分かれて、植えて行かなくちゃ。水・・・早いなぁ。もう綺麗に水面が見える。そりゃそうか・・・四隅から、水入れられる様に設備投資したものね。
一番大変な田植えだ。体力はそう削られてはいない。子供の頃以来の、素足に土の感触。ちょっとぬるっとしているけれど、冷たくて気持ちいい。
二人でサクサクと植えて行き、2時間ほどで完成した。広さが無いからか、手伝ってくれたからか、ゲームでの体力がそのまま引き継がれたからなのか分からないけれど適度な疲れ。
水田前に、作物名を書いた立て札を刺していく。少し遅いランチタイムになったけれど、これでホッとした。お米は外せないものね。
青空の下で、体いっぱい伸びをした。
「足・・・ちゃんと、ドロドロだなぁ。洗いに行こう。」
家の横にある井戸で、足を洗う。水が冷たい。
「莉亜、お疲れ様。タオル持ってきたよ。」
「ありがとうございます。リヒトさん、お手伝いありがとうございました。一人だったら一日掛かっていたと思うので、本当に助かりました。」