第35章 農業生活 夏 二日目
「莉亜、凄い量だね。重くなかった?」
気遣ってくれる。私はその気遣いだけで、とても幸せだ。
「大丈夫だよ。で、これ・・・塩茹でして食べようと思うんだけど、リヒトも食べるでしょう?良かったら、お店にも使ってね。」
「ありがとう、立派なオクラだね。塩茹でなら、僕がやるよ。あ、まだ作業中?」
「うん、後、アボカドだけ収穫してくる。」
オクラをリヒトにお願いして、アボカドの収穫だ。アボカドはシノンも好きなので、出荷箱に幾つか納めておく。各言う私も、結構好きだったりする。
「あ、莉亜!おはよう。」
「おはようございます、クベルさん。何かご用ですか?」
クベルは、鞄から手紙を取り出した。
「シノンさんから預かって来たんだ。注文書らしいよ。」
「ありがとうございます。」
封を開ければ、そう言えばと思い出す。
「布地の注文だ。え~っと、青に紺色、オレンジに黄色。あ、クベルさん、直ぐに持って行ってくれるんですか?」
「うん、待ってるよ。その布地、俺の服の注文分も入ってるんだ。シノンさんから、莉亜のところの布地が着心地いいって聞いたから。えっと・・・突然だったけど、大丈夫かな?」
「はい、少し待っててくださいね。」
今のクベルの服の色は青。そうか、青系が好みなんだ。下はジーンズだし。白とかは運ぶ時に、汚れが目立つものね。機織り機の部屋でゴソゴソとしていると、リヒトが顔を出した。気になったらしい。
シノンさんの注文のこと話すと、クベルの所に運んでくれた。それと一緒に、果実水を一杯提供する。
「ご苦労様。暑いだろうから、良かったら飲んでって。」
「ありがとうございます、リヒトさん。あ、そう言えば、コーラルさん頑張ってるみたいですよ。人が変わったみたいでビックリしました。何か、物凄い厚みの書き物をしてましたよ。」
「そう。」
リヒト、一言だけ?もう少し、興味持ってあげようよ。クベルは分かっているのか、その事に何も追及はしない。
「あの書類的なもの、莉亜が読むんだよね?大変だと思うよ。」
「クベルさんも、情報通ですね。そっか・・・コーラルさん、頑張っているんですね。」
言った手前、読むしかないよね。その分厚そうな書き物。
「莉亜に認めて貰えなかったら、追い出されることになっているみたいですよ。イルミナさんに、物凄く叱られていたから。」