第34章 農業生活 夏 一日目
二人でほのぼのとしてから、リヒトは果物を冷凍庫へ仕舞ってくれた。開店まで、一時間半。そろそろ、カミルも来るだろう。
そうそう、カウンター前には総菜が大鉢に並んでいた。大鉢以外は、その都度、適温のものを振舞うらしい。
どれも美味しそうで、生唾をゴックン。ヤバい、涎出そう。そして、そこには夏野菜サラダも色取り取りカラフルで美味しそう。
「おいで、莉亜。」
リヒトが両手を差し出す。その手に誘われるように、私はリヒトの腕の中に収まった。毎日傍にいても、キスもハグも大事だと思う。
「もう少ししたら、一緒に食べようね。それまでは、少しだけ休憩。」
ソファーでイチャイチャタイム。たくさんキスして、ハグして充電中。
「あ、カミルが来たみたい。じゃあ、食事にしよう。」
三人でランチを食べて、私はその後、作業場へと行った。チーズの為の牛乳をセットしてから、後は大豆を黄粉にする為にこれも機材に設置。後は自動だ。
そして、冷蔵庫から出した蕨粉。自分で作るのは久しぶりかもしれない。上手く作れればいいのだけど。何気に力仕事なんだよね。
それにしても、本当に今日から夏日だ。外は暑い。それでも、山の風が吹いて、街ほどではないけれど。
蕨粉に砂糖と水を入れて、只管掻き混ぜる。火が入って来ると、材料が重くなってくる。それでも、何とか掻き混ぜて一口サイズに氷水にちぎったのを浸していく。
涼し気な蕨餅に黄粉を掛けて、先ずは試食。食感はプルンプルンで美味しい。私は黒蜜より、黄粉だけ派だ。この黄粉も美味しい。
残りは容器に入れて、冷蔵庫で保管。さて、次は牛乳寒天作り。大きな高さのあるトレイに作ろうと思う。
大きな鍋に大量の牛乳と寒天、そして砂糖を入れる。果物は適当に見繕って切り分けておく。寒天と砂糖を綺麗に溶かしては、トレイに流し込んだ。その中に用意したカットした果物を入れていく。見た目的にもカラフルで大満足だ。
あ~、ちょっと疲れたかも。作業場の椅子で、つい転寝。
「・・・・・亜?莉亜?」
「んっ・・・リヒト?」
「大丈夫?」
ボーッとしたまま、目を開ける。時計を見れば、七時前。どうやら、いつの間にか眠っていたらしい。
「疲れた?ベッドに運ぼうか?」
「ううん、もう起きる。」
「じゃあ、夕飯にしよう。」