第34章 農業生活 夏 一日目
リヒトがタジタジしている。レアな光景だ。
「年代って・・・僕は、莉亜以外どうでもいいんだけど。でも、傷付けたならごめん・・・。」
リヒトがションボリしてる。嫌々、私だってそこまで気にしている訳でも傷ついている訳でもないから。
「リヒト、ちょっと屈んでくれる?」
「えっ。あ、うん。」
素直に膝を折るリヒトの首に両腕を回して、自分から熱烈なキスをお見舞いしておいた。そう、家の前で!!リヒトの目が丸い。
「リヒトが好きだよ。」
「あ・・・うん。ありがとう。」
リヒトの顔が赤い。
「じゃあ、私は見回りに行って来るね。」
「う、うん・・・行ってらっしゃい。」
ちょっとだけ、ボーッとしているリヒトを残して水田へと向かった。ケビンにでも、何か言われたんだろうか?後で聞いてみよう。
「いきなり育ったのは、夏になったから?でも、上手く育っているみたいで良かった~。」
ちょっぴり生えてた雑草を抜いて、肥料箱に放り込む。畑は植え替えしたばかりだから、そう作業はない。今日から、水撒きは一日二回に設定し直しておこう。
そう言えば、温室って一定の温度だった。外よりまだ涼しいくらい。いそいそと、果実の収穫だ。何に使うのかって?私は果実を凍らせてそれをそのまま削ってのかき氷的なものが食べたい。
ゲームではそういう設定は無かったけれど、今なら出来そうだからチャレンジしてみようと思う。収穫した果物を、家の横の水場で洗浄する。
「莉亜、作業終わったの?」
「あ、リヒト。うん。ねぇ、かき氷の機材とか持ってる?」
「あるよ。」
良かった!!かき氷の機材、私も買おうかな。リヒトはお店で使うだろうし、邪魔になるといけないもんね。
「果物を凍らせてかき氷にしようと思って。私も機材買うことにする。でも、一度だけ貸して貰ってもいいかな。」
「勿論だよ。果物を凍らせてかき氷か・・・それはいいね。ねぇ、お店のメニューとして出してもいい?」
「いいよ。」
今日は他に遣りたいことがあるから、明日にでも試してみようと思う。今日は蕨餅だ。黄粉も外せない。
「莉亜は楽しそうだね。」
「うん、楽しいよ。リヒトが傍にいてくれるし、水田も上手くやれているし、野菜も果物も順調だもん。リヒトのご飯も美味しいから、尚更だよ。」
「僕も楽しいよ。可愛い莉亜が傍に居てくれるから。」