第34章 農業生活 夏 一日目
確かに、お金の面で話題にしたのは初めてだと思う。
「莉亜って、借金でもあるのか?改築だって、ジルドが用立ててくれたんだろ?」
「借金なんて無いですよ。ちょっと、加工品を頑張ろうかと思って。収納量のキャパが超えそうなんですよね。」
その言葉に、リヒトはホッとした顔をして・・・ケビンは温い目を向けられた。
「なぁ・・・つまり、野菜が余ってるってことなのか?」
「そこのところは頑張って食べて消耗するんで・・・う~ん、頑張って食べれば消耗出来るか微妙ですけど。ま、まぁ、加工品にして出荷しようかなって。」
ちょっと、ケビンの目が輝いている。リクエストでもあるのだろうか?
「近々、ウチの方の村で祭りをやるんだが、牛乳で何かいい案はないかと思ってな。」
「牛乳なら、牛乳寒天とかどうですか?ほら、果物を入れたりとかすれば、見た目も華やかになりますし。」
寒天なら商店で簡単に手に入るし、作るのもそう難しくないはず。たぶん・・・。
「上に生クリームをトッピングしてもいいですね。」
リヒトが更に提案。
「なぁ・・・果物なんだが、ウチに回して貰うことは可能か?」
「それなら、物々交換でどうですか?」
二人が温い目を私に向ける。
「だ、ダメでした?」
「そういう訳ではないんだが・・・果物は、高価だからなぁ。」
「それぞれとして考えた方がいいと思うよ。物々交換にすれば、そう多い量の果物は得られないだろうから。」
そう言えば・・・サクランボの時、高価だった気がする。
「じゃあ、欲しい物を欲しい量教えて下さい。」
「すまんな、いつも。次の納品の時に、依頼書持ってくる。」
相変わらず、私って物価の価格が理解出来ていない気がする。ゲームでも、果物って物凄く実るまで日数が掛かったっけ。牛乳は毎日搾乳出来るもんね。
ケビンを見送ると、また、リヒトに顔を覗き込まれた。
「り、リヒトっ、どうしたの?」
「ケビンさんのこと、見過ぎだと思う。」
本当にヤキモチ妬きだと思う。私はそういう目で見たことは、一度もないのに。
「リヒト・・・流石に、親と同じくらいの世代の人を、そういう目では私は見られないけど。それとも、リヒトは親くらいの年代の人を、そういう対象で見ているってこと?だから、私にそういうこと言うのかな?」