第34章 農業生活 夏 一日目
昨晩はリヒトの執着を一身に受け、それでも程々で終わったと思う。体はあちこち痛いけれど、まだ動けるから許与範囲だ。リヒトは、見目麗しい寝姿。
つい、じっと見つめてしまうのは仕方ないと思う。
「ひゃあっ!?」
いきなり体を撫でられて、おかしな声を上げてしまった。今、朝なんだけど。って、起きてるよね?
「フフ、可愛い声。おはよう、莉亜。」
「おはよう、リヒト。」
ギュッと抱き締められ、朝のルーティンを堪能。・・・堪能?えっと・・・まだ、終わらない。
「ありがとう、いっぱいキスさせてくれて。今日も頑張れるよ。さぁ、シャワー浴びようね。」
浴室でちょっとだけイチャイチャして、汗を流してさっぱりする。今日は、ケビンが来る日だ。牛乳がいっぱい来るんだった。生クリーム作ったり、加工品頑張ろう。
それでも、朝食の準備をしているリヒトに抱き付いて・・・邪魔?してる。だって・・・何となく離れたくなかったから。始めは背中に張り付いていたんだけど、今はリヒトの片腕の中に抱き抱えられている。そして、合間に頭や額にキスしてくれる。
「今朝は甘えん坊だね。可愛い。」
「ごめんなさい・・・邪魔しちゃって。でも、もうちょっとだけ・・・。」
「フフ、全然いいよ。僕は嬉しいから。」
お互いにお互いを堪能しては、二人で朝食タイム。朝から夏野菜サラダづくし?だったけれど、在庫の話ししたら変わらずリヒトは遠い目をしていた。
「おぉ、おはようさん。今日は暑くなりそうだな。」
「「おはようございます。」」
「上手くハモったな。」
今日は牛乳がいつもの1.5倍の量が収められた。テラスで昼からの予定を考え込んでいると、リヒトが戻って来ては私の顔を覗き込んで来た。
「どうかしたの?・・・ねぇ、ケビンさんを見てる?」
「えっ?」
焦点が合えば、視線の先はケビンの姿。でも、私はケビンを見ていた訳じゃない。
「リヒト・・・勝手に決めつけて、俺を敵対視するんじゃねぇよ。ほら、莉亜も何か言ってくれ。」
「あ、はい。ちょっと考え事をしてただけだよ。」
「ケビンさんを見ながら?」
これは・・・ヤキモチ?かと言って、下手なことは言えない。ケビンにも失礼だし。
「ちょっと、お金儲けしようかな。」
二人の目が点になった。
「どうしたの?何か、欲しいものでもあるの?」