第29章 農業生活二十七日目
二人で手を繋いで、畑の見回りに行って・・・。
リヒトは、大人しくじぃ~っと、私を見詰めている。真横から熱い視線を感じる。逆上せてしまうから!!リヒトにそう言ったら、「僕はもう逆上せてるよ?」って言われてしまった。
何にとか、誰にとか危険で聞けない。この時も、ずっと見られてる。
「お願い・・・そんなに見詰めないで。恥ずかし過ぎる。」
「僕を拒否しないで?」
悲しそうに言われて、私の心は撃ち抜かれた。こんなリヒトを、拒めない。拒めないんだけど・・・。
「莉亜?僕を見て。」
おずおずと見上げれば、嬉しそうに眼を細めたリヒト。またしても、心を撃ち抜かれる。
リヒトの大きな手が、私の頬を覆う様に触れる。
「好き・・・好きだよ・・・。」
昨日の私、何ってことしたんだぁっ!!!もう、声だけで犯されてる気分だよ。火どころじゃなくて、炎?燃え盛ってない?リヒトの瞳。
どうしたら、リヒトは落ち着くんだろう?もう、色んなところキスされてるし。ここ、外だよ?敷地内とはいえ、恥ずかしいんだけど。
「僕を見て?」
リヒトが可愛い。凄く可愛い。
何とか、家に戻り・・・リヒトは、ソファーでいつの間にか眠ってしまった。私を抱き締めたまま・・・。
昨晩は、その気にさせるだけさせておかれ、お預けされたまま一睡もしていないリヒト。抱き枕のように抱き着かれて、身動き取れない状態だ。
それにしても・・・このキスマークの数は何?
「何か・・・ごめんなさい、リヒト。後で埋め合わせするからね。」
動けないので、私もそのまま休憩。次に目覚めた時には、いつものリヒトだといいなと切実に思う。イチャイチャするのは、家の中だけでお願いしたいです。
ぐぅ~っ・・・。音で目が覚めた。目の前には、リヒトの胸。見上げれば、まだ眠っているリヒト。そっと離れようとしたけれど、腕が解けない。
また、気の抜けた音がする。
すると、リヒトの目が薄っすらと開いた。因みに、この音の犯人は残念ながら私である。
「ごめん・・・起こしちゃったね。」
「ううん、いいよ。こうして莉亜と一緒だったから。」
「腕、解いてくれる?」
身動きとろうとしたのだけど、腕が解かれる気配がしない。
「リヒト?」
「・・・もう少しだけ。お願い。」
そんなこと切なそうに言われたら、断われない!!