第29章 農業生活二十七日目
何となく・・・そう、何となくだけど、遣り切った感があるのは何故だろう?隣りには、まだ眠ったリヒトがいる。
「へっ?な、何っ!?リヒト、リヒトっ!!」
「ん、莉亜?おはよ~。」
「リヒト、これどうしたの?」
リヒトの上半身は何故か裸体。首筋から胸元、腹筋にもたくさんのキスマークが付いている。
「あ~、コレね~。僕へのご褒美だって~。」
「ご、ご褒美?えっ?ご褒美って何?」
ヘロッと色気満載で微笑み、私を見詰めるリヒト。
「莉亜がくれたんだよ~。」
リヒトのカミングアウトで、私は眩暈がした。確かに、リヒトが自分でつけられるわけじゃない。お風呂だって一緒に入ったのだから、寝るまでにはこんなことにはなっていなかったのは分かってる。
じゃあ、いつっ!!!?
「もう・・・トロトロにされちゃったな~。いっぱい、莉亜に愛して貰えて幸せだったよ。」
えっと・・・私は、服を着てる。うん。体の変化も無い。うん。
・・・・・・・じゃあ、何っ!?
そして、この後・・・私は、リヒトから事情を聴いて、平謝りだった。恥ずかしいし、申し訳ないしで顔から火が出てる。
「どうして謝るの。僕は嬉しかったよ?凄く嬉しかったよ。」
チラッとリヒトの首筋や鎖骨を見れば、やっぱりいっぱい赤くなってる。
「何か・・・欲求不満みたいじゃない。」
「欲求不満なの?」
コテンと、首を傾げるリヒトに反論する。
「違うからっ!!そうじゃないからっ。」
「フフ、僕はそういう意味では不満かなぁ?されるばっかりだったからね~。」
もう、お願い。許して下さい。そして、その気怠そうなリヒトの瞳で、私を見ないでください。色んなものが削れてるから。
「はい、莉亜。レタスと僕の唇、どっちがいい?」
「え、選べない・・・。」
「じゃあ、両方あげる。」
神経がすり減って無くなった頃に、朝食も終わった。
今日のリヒトは何か可笑しい。いつもの色気が可愛く思える程だ。今日はケビンが来る日じゃなくて良かった。改築も終わって本当に良かった。
こんなリヒトは見せられない。同性でも、襲われそうな気がする。リヒトが危険に晒される!!
って、私も何か影響を受けそうだよ。コソッとリヒトを見上げれば、直ぐに見ていることに気付かれ微笑まれる。