第28章 農業生活二十六日目
小さくて手軽だから、つい食べちゃうんだよね・・・。それに、美味しいから。ついでに言うと、私の畑だし?
「大抵の人は、試食より出荷に重点をおいていると思うんだけど。莉亜の畑だから、別に構わないんだけどね。出荷量も在庫も補えている訳だし。」
「エヘヘ。」
「しょうがないなぁ・・・可愛いから許す。でも、程々だからね?」
元気に頷くと、リヒトは笑顔で私の頭を撫でる。あ~、リヒトも私に甘い人で良かった~。
「コホん、おはよう。」
「ひゃっ!?こ、コーラルさん!!いつから居たんですか。」
「リヒトは、最初から気付いていたようだけど。」
最初って、どこ?リヒトは、肯定も否定もしないまま笑っている。
「あ、じゃあ、始めますか。」
気を取り直して、収穫作業をやる。そろそろ夏が近づいていると言うことで、日数のかかる種は蒔かないことにする。ラディッシュなら、ギリギリ収穫出来るから楽しみだ。
大体の説明をして、慣れない手つきながらもしゃがみ込んで頑張っているコーラル。
「リヒト、少しお願いするね。私は、見回りに行って来る。」
「分かった。」
同性だし同じ年だし、大丈夫だよね。二人を残しては、水田へと向かった。まだ小さな苗だけど、少しずつ成長の成果は見られる位にには大きくなっている。
「毎日、水田に肥料の垂れ流しって・・・全然、お金に糸目を付けていないなぁ。貯金って、幾らあるんだろ?」
そう言えば、気にしていなかったけど、どうしよう?気付いたら、貯金が底をつくなんてことになったら。ゲームが終わった時は・・・。
「現実ではありえないけど、10億はあったよね。せめて、10分の1くらいは残ってるかな?お金無くても、作物とか売ればそこそこのお金にはなるのだろうけど、それは最終手段だなぁ。」
水田の後は、隣りの養蜂場へと訪れた。
「蜜蜂さん、頑張ってる。」
刺激しないように、周りを見て回って確認終了。さて、楓やきのこもチェックしなくちゃ。一通り見回って戻って来ると、何か空気がギスギスしてる。
「リヒト?」
「お帰り、莉亜。水田はどうだった?」
「あ、うん。少し肥料足したくらいかな。」
と言っても、水場に肥料を蒔いておくだけだ。その水を自動で撒いているので、後は自動だけど。でも、肥料の分量は自己判断だ。