第3章 農業生活三日目
ドアを開けると、お店の様に綺麗にタッパーが陳列されていた。見た目的にもカラフルで、側面に内容が書かれたシールが貼られていた。ちょっと圧巻。
そして、いい香りがする。色んな果物とミルクの匂いが混じったもの。ちょっと浮かれてしまう。目の前のベリーアイスのタッパーを取り出し、ドアを閉めた。
蓋を開けると、私とリヒトの感嘆の声。果物がゴロゴロ入っていた。苺・ラズベリー・ブルーベリーだ。そして、リヒトを見ると・・・イケメンが生唾飲んでいた。
「リヒトさん・・・試食しないといけないですよね?ね?そう思いますよね?」
畳みかけて言って見れば、直ぐに容器を持ってきてくれた。そして、二人で同時に試食。口に入れて、目を見開いた私たち。脱力してしまう程、超絶美味だった。
「ねぇ、莉亜。僕をどうしたいの?」
「えっ?」
「こんな美味しいもの食べさせられたら、どんなことをしてでも莉亜のお婿さんの座は誰にも譲りたくないんだけど。ひょっとして・・・もっと、口説いていいってことなのかな?」
リヒトは自問自答しながら、私を壁へと追い込んでいく。アレ?背中に固い壁の感触。もう、逃げ道皆無?今、立派に壁ドンされてる。いや、何が立派なのか言っていて意味が分からないのだけど。
そして・・・つい、見上げてしまった。あの蜂蜜色の瞳と視線が合わさる。一瞬にして、赤面した。急激に血が集まったから、足元が崩れそうになった。
「おっと、大丈夫?刺激・・・与えすぎちゃったかな。ごめんね、つい気が焦ってしまって。えっと・・・お詫び。」
頬に触れた、柔らかい感触の意味は直ぐに理解した。リヒトの艶やかな柔らかい唇が触れたのだ。
「でも、もう僕から逃がさないからね?」
耳元で囁やく甘さを含んだ声に、私の足は踏みしめることを放棄した。咄嗟に、リヒトに支えて貰った私は意識まで飛ばしそうだった。
次の瞬間、体が浮かび上がった。リヒトとの顔が近い。えっ?コレ・・・抱き上げられているの?
「後片付けは僕がやるから、ここで座ってて。」
作業場内の椅子に下ろされて、私はただリヒトが動くのをボンヤリと見ていた。ゲームで最初からリヒトがいたら・・・選んでいたかもしれない。密かにそんなことを考えていた。
何で、あの最初の住人設定とこうも違い過ぎるのだろう?そこが不思議でならない。