第3章 農業生活三日目
「だから、程々にね?それとも・・・僕にヤキモチ妬かせたいのかな?だったら、僕しか見えないようにしないといけないなぁ。」
含みのある声に、増々、顔が赤くなっていく。何これ?何で、こんなに色気あるの。もう、頭から湯気どころじゃなくて、色んなものが出そうだよ。
「な~んて、冗談だよ。でも、ヤキモチ妬くのは本当だけど。」
もう、ドキドキしてヤバい。絶対、敵に回さないようにしよう。羞恥心が死ぬ。既に、自分で思っている意味すら分からない。
「真っ赤になるって事は、少しは僕のこと意識してくれてるって事なら嬉しいんだけど。」
穏やかに笑っているリヒト。本当に心臓に悪い。あの蜂蜜色の目が、もうヤバいんだけど。あの目で見詰められたら、大抵の女の子は堕ちる。
私がまだ踏ん張れるのは、きっと、この世界が半分はゲームだと思っているからだと思う。そうでなければ・・・。
「さ、片付けて作業場に案内して貰おうかな。」
「は、はい。」
やって来ました。家に隣接した作業場。今のお目当ては、油作りの機材。地下水を汲み上げる水道で、綺麗に紅花を洗っていく。
ん?リヒトは・・・目をキラキラさせて、周りを見回していた。珍しく大興奮中らしい。それでも、途中から我に返ったらしく、油作りを手伝ってくれたのだけど。
で、洗う事以外、手間のかからない作業。もう、油が抽出されている。綺麗なオレンジ色の油だ。透き通っていて、とても綺麗だった。
その後は、丁度、茶葉の乾燥が終わったブザーの音がした。機材を開けると、物凄くいい香りが漂ってきた。直ぐに飲みたいって思うよね?
ジッとリヒトを見ると、直ぐにお茶を淹れてくれた。二人で試飲。甘く飲みやすい茶番の味。乾燥させた茶葉を三等分にして、一つはそのまま。一つは紅茶へと、最後の一つは抹茶として臼で挽くことにした。
この作業場では、色んな加工品を作ったものだ。あのハムも然り。燻製機も、また使いたい。
「ねぇ、これも冷蔵庫だよね?開けていい?」
「いいですよ。そこは、加工品を入れる専用にしています。で、その隣が冷凍庫です。確か・・・アイスが入っていたと思うんですけど。」
果肉がゴロゴロ入った数種類のアイスだったはず?ゲームだったから、本当にゴロゴロしているかは確認できなかったけれど。確認してみよう。