第3章 農業生活三日目
朝からイケメンを見て目の保養をした後、私は畑を見回る。そして、今日の目的は、茶摘み。そう、茶摘み。新芽の柔らかい部分を摘み取っていく。
茶畑と言っても、そう多くは無い量。でも、七日に一度茶摘みは出来るし、何も出荷が目的ではないからこれでいい。家で日本茶として飲んだり、加工して紅茶としても楽しめる。
リヒトは私が茶摘みの間、昨日の鱒のオイル漬けを作ってくれている。それも、今後として楽しみの一つだ。そんなことを思いながら、隣りの鮮やかな作物に目を向ける。
「紅花だよね・・・お昼から、作業場案内するし油にしようかな。それにしても、綺麗な色・・・。」
摘んだ茶葉を乾燥機に掛けてから、再び、紅花のところへ来た。斜め掛けした籠に、摘んだ紅花を入れていく。花びらだけなので、嵩張るがそう重くはならない。
紅花は五日に一度採取可能な作物だ。これも、連作扱いなのでそう多くは栽培していない。それでも、籠の中は直ぐにいっぱいになっていく。畑の片隅には、紅花が入った籠が並んでいった。
「莉亜、ここにいたんだ。これは・・・紅花だよね。油にするの?」
「お昼から作業場案内するでしょう?その時にやろうと思って。」
って、洗って機械に入れて終わりだけど。
「え、見たい。って言うか、僕もやってみたい。」
「じゃあ、手伝って貰えますか?」
「勿論。あ、そうだ。お昼だよ。」
あれ?もう、そんな時間だった?摘んだ紅花を玄関脇に置き、オープンテラスでランチ。専属シェフ感覚だよね?つい食べ過ぎてしまうから、用心しなきゃ。いや、動けばいいよね?
だって、こんなにキノコのオムレツが美味しいんだもの。付け合わせの温野菜も最高です。つい、箸が進む・・・じゃなかった、フォークが進む。
「莉亜は本当に美味しそうに食べてくれるよね。僕としても嬉しいよ。作り甲斐があるって思うんだ。」
「美味し過ぎてちょっと困るんですけど、働けば大丈夫ですよね?ちゃんとカロリーは消費しなきゃ。」
リヒトは、私をマジマジと見た。え、何か可笑しなこと言ったかな?
「これ以上魅力的になられると、僕としても心配なんだけど。」
ん?今、何って言ったの?魅力的?誰が?
あ~っ!!顔に熱がっ!!。この人は、何ってことを言うんだろう。ワザと?策士?恥ずかしくて、顔が上げられない。