第23章 農業生活二十三日目
「熱いって言おうとしたんだけど、間に合わなかったね。大丈夫?口の中、見せて。」
素直に口を開ければ、リヒトが覗いてくる。
「舌先が少し赤くなってるね。熱くない違うものを用意しようか?」
「ううん。かき揚げ好きだから、少し冷やしてから食べる。」
「じゃあ、僕が冷ましてあげようか。」
一口サイズに分けては、ふうふうと息を吹きかけている。まさしく、雛鳥に食べ物を上げる親鳥的存在。
「リヒト・・・過保護過ぎるだろ。」
笑いながら、ルドが現れた。でも、リヒトを見て、ヤバいと言う様な顔をして真顔になった。リヒトの顔を見れば、いつもの笑顔だ。はて?
「何かご用ですか?」
「あぁ、確認して貰いたくてな。食事が終わってからでいいから、裏庭の方へ来てくれ。慌てなくていいからな。」
直ぐにいなくなってしまったルド。
「もう少しの我慢だなぁ・・・。」
「我慢?」
「何でもないよ。早く改築が終わるといいね。おちおち、イチャイチャ出来ないし。」
えっ?そんな気遣いリヒトにあったの?思っても言わないけど。
「確認は僕が行って来るよ。莉亜はジャムの準備しててくれる?」」
「うん。」
って、いつもリヒトに任せっぱなしな気がする。食事の後、私はキッチンでジャムの準備。白糖とレモン、果物を揃えた。コンロに三つの鍋を設置する。
「お待たせ、莉亜。準備ありがとう。」
「リヒトも確認ありがとう。どうだった?」
「いい感じの囲いになってたから、安易に部屋の中を覗けないようになってたよ。それで、寝室はどこにする?やっぱり、一階がいいの?」
作業のことを考えたら一階が動きやすいのは事実。でも、二階の広い部屋を選択すれば、二階から畑一面見えるのがいいなと思い始めていた。
「二階の一番広い部屋がいいって思うんだけど、リヒトはどう?」
「僕は莉亜がいいなら、何処でもいいよ。じゃあ、あの部屋にベッドとか移動して貰っておくよ。少し待ってて。」
フットワークのいいリヒトは、直ぐに報告に行ってくれた。それにしても、この家って元のゲームの世界からグレードアップした気がする。部屋数増えたし、設備なんてとんでもなく充実している。
空き部屋も幾つかあるんだけど・・・あれって、リヒトが言っていたアレなんだよね?子供部屋的な・・・。