第21章 農業生活二十一日目
皆が驚いた顔をしている。勿論、私も。
「で、でも、この子がいたら邪魔じゃない。」
立ち直りが早かったのは、ジーナの方だ。
「私はそんな上から目線の言葉しか使えない人とは、プライベートでは関わり合いたくなんてないの。だから、貴女たちの方が遠慮して欲しいわね。」
強い、姉さん。そして、ジーナたちはというと、目の前で喧嘩を始めた。要は、責任のなすりつけ合いである。が、いきなりテーブルをバンっ!!と叩いたシェリー。
「いい加減にしなさい!!喧嘩するなら私の視界に入らない所でやって頂戴。」
悔しそうな顔をして、何故か私を睨みつける二人に、もう、うんざりである。が、その視界を遮るようにリヒトが現れた。
「そろそろ、莉亜を返して貰っていいですか?」
「・・・そうね。今回はそうするわ。ありがとう、貴方の大切な人を貸して貰って。楽しかったわね?」
話しを振ったのは、クレアにだった。
「ええ。とっても。また、お話ししたいです。」
「それなら、近いうちにリヒトの店で親睦会やるから来てくれ。」
声をかけてきたのはローラン。
「それは楽しみですね。是非。」
クレアも頷いている。
「わ、私も行くわ。」
「私もよ。」
「ウチの店は、出禁にしてるハズだけど。じゃあ、莉亜行こう。」
サラっと拒否する言葉を吐いて、二人が立ち直る前に私の手を引いてその場から離れたリヒト。少しして騒がしくしていたけれど、またシェリーに叱られて黙っていた。
「莉亜、どうだった?」
「楽しかったし、二人ともいい人だったよ。」
「そう。僕がヤキモチ妬かない程度で、仲良くしてね。」
可愛いことを言うリヒト。
「うん。リヒトもね?」
「勿論だよ。あ、ほら、飴細工があるよ。」
出店を見て回りつつ、お花見を楽しんだ。家へと帰る中、私はリヒトにローランたちのことを聞いてみた。
「本当に、僕が小さな頃しか知らない。明るくてリーダーシップがあるいい人だったよ。服飾の勉強の為に、街の学校に行ったんだ。だから、本当に久しぶり。」
「この村も、変わって行くといいね。」
「ローランさんが、熱くなってたよ。それに、他の新しい住人の人たちもいい人みたい。まだ、少ししか話してないけど。」
珍しい。でも、リヒトの心境の変化は嬉しい。そう言えば、レントとコーラルはリヒトと同じ年。
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