第21章 農業生活二十一日目
食事の後、私たちは連れ立って村の広場へと来た。そこには、他の村からの出店などが来ていて賑わっていた。
「リヒトさんっ!!莉亜もご無沙汰。」
「「こんにちは。」」
あの日以来のクベルと、その隣りにはルドより少し年上の様な男性がいた。
「大きくなったな、リヒト。」
「ローランさん、お久しぶりです。」
リヒトとは知り合いらしい。
「あぁ、彼女は僕の婚約者の莉亜です。莉亜、こちらがシノンさんの弟のローランさん。」
改めて挨拶を交わす。
「リヒトとは15年ぶりくらいか。昔はあんなに小さかったのにな。」
親戚のおじさんのような口ぶりである。でも、優しそうな人だ。それに、シノンとどことなく似ている。
そして、村長から声が掛かり、新しい住民の紹介が始まった。今回はこの村の住民となる人が殆どだけれど、今後、隣り村にも増えていくらしい。
今回増えた男性3人は、前の住民より見目麗しい人ばかりだ。勿論、クベルも同様に。女性も意地悪そうな人はいないようだった。その事に、ホッとする。
早速、新しい男性住人にアプローチしているジーナとパルマ。逞しい限りである。元々どうでも良かったけれど、また除け者にされるのは・・・。まぁ、リヒトがいるから寂しい思いはしないで済むけど。
パルマは、彼氏とどうしたのだろう?いや、この光景を見ている限り、終わったことなのだろう。そんなことを思っていると、急にリヒトに肩を引き寄せられた。
驚いて見上げれば、どこかを見ているリヒト。その視線の先には、見覚えのある人がいた。あぁ、パルマの元カレ。頑張って声を掛けている、パルマたちを見ている。
肝心の新しい男性住人たちは、普通に受け応えしている?そう、普通・・・。それより、元カレの方はどうするんだろう?
その時、ローランが呟いた。
「逞しい女たちだけど、誰も相手にしないだろうな。」
「ローランさんは、苦手ですか?」
クベルが尋ねている。
「俺には愛する嫁がいるからどうでもいいのが本音だ。それより、クベルはどうだ?」
「元気な女の子たちですね。」
それって、興味なしってこと?
「リヒトも、もう嫁さんがいるようなものだもんな。」
「そうですね。」
もう、嫁扱いされてる。でも、ローランとは良好な関係のようで私も嬉しい。幼過ぎて、今のリヒトのことは知らないようだ。