第19章 農業生活十九日目
二人で並んで食べていると、リヒトが徐に話し出した。
「お店で覗いている人がいたよね?」
「えっ?あ、うん。」
「パルマの恋人らしいんだ。」
まだ、付き合っているのだろか?友達の恋人を略奪って・・・。あぁ、だからか。私も同じだったから、リヒトは過剰に反応していたんだ。
「どうして分かったの?」
「イルミナさんが見掛けたらしいよ。急いでいたから、声を掛けなかったみたい。浮気は・・・思った以上に、周りにバレていたらしいよ。そう大きくない村だからかな。」
どんなシチュエーションを見られていたんだろう?見たとしても、そう簡単に暴露出来なかったんだろうなぁ。
「パルマはどうしているんだろう?」
「僕を狙っているらしいよ。」
何ともない様に言ってのけたリヒトに、私は驚いてリヒトを見た。
「どうして?」
「僕がジーナに靡かなかったからじゃないかな。僕を手に入れたら、少しは気分が晴れると思っているのだろうね。本当に迷惑な話だよ。」
無表情のリヒトは、心底、迷惑そうな言い方。
「だから・・・家の裏から覗いていたのは、パルマかもしれないね。こんなことなら、諦めさせる為に見せつければ良かったかな。僕が莉亜を可愛がっているところを。」
「えっ、そ、それはちょっと・・・。」
「冗談だよ。でも、僕が一人にしたくないって言ったこと、理解してくれた?僕は誤解すら、させたくないんだ。」
誤解すら・・・か。リヒトの気持ちは嬉しい。
「それと、新しい住人が週末に村に来るよ。お祭りで歓迎会するみたい。クベルのことも合わせて。」
そう言えば、お店が焼失したから、会っていない。どうしているんだろう?配達が仕事だから、その仕事をしているのだろうけれど。
「どんな人が来るんだろう?」
「ケビンさんの店の店子として同世代の女の子とか、イルミナさんの弟も村に戻って来るらしいよ。他にも、何人かって言っていたかな。」
噂の出所は、ケビンの様だ。店番していた双子、居なくなったもんね。店番が欲しいよね。それに、イルミナの弟ってゲームの設定では無かったなぁ。
「でも・・・可愛い女の子は心配だなぁ。」
「僕としては、同世代の男の方が心配だけど。僕の莉亜にちょっかい出して来るかもしれないしね。莉亜好みの男じゃないといいんだけど。」