第19章 農業生活十九日目
「莉亜、先に荷下ろし手伝うから、作業場で待ってて。直ぐに行くから。」
「うん。」
以前、荷下ろしを手伝うと言ったのだけど、リヒトにもケビンにも遠慮された。それ以降は、二人にお願いしている。
作業場に行くと、カラフルな野菜サラダと厚焼き玉子を挟んだサンドイッチに、ポトフが作ってあった。
「ソーセージ・・・そう言えば、一度も作ってなかったな。それに、リヒトも加工が遣りたいって言ってたっけ。」
「どうしたの?何やら考え込んでる?」
豚肉の塊を手にしたリヒトが現れた。
「お昼からソーセージ作ろうかなって思ってて。」
「そう言えば、莉亜の作ったソーセージって、ジューシーだし嫌な香辛料の香りも味もしないよね。」
味見したのね・・・。
「手伝ってくれる?」
「勿論だよ。あ、美味しくて・・・つい、3本ほど食べちゃった。ごめんね?」
可愛く謝ってくれたから許す。そして、朝食は・・・初のソーセージは涎が止まらなくなるほど美味しかった。
「また、考え事?」
「そういう訳じゃないけど、ノーマルと香草入りとかチーズ入りとかもやってみようかなって。それに、太さも大きい物とかどうかな?」
フランクフルト的なサイズとかいいよね。
「太さ?例えば、どれくらい?」
「う~ん・・・リヒトの・・・。」
「僕の?ひょっとして、僕の大事なとこ?」」
想像もしなかった事を何気に口にしたリヒトに、私は思わずポトフを吹いた。
「大丈夫?」
「いきなりそんなこと言うからだよ。私はリヒトの親指くらいって・・・なのに、リヒトは・・・。」
「そうなんだ。てっきり僕は、そうなのかなって。」
だから、そういうこと言ってるのに、どうしてそんな爽やかな笑顔を振りまくの?
「む、無理だよ・・・食べ切れない。」
今度は、リヒトがポトフを吹いた。
「だ、大丈夫?」
「ま・・・さか、莉亜がそういうこと・・・。」
そういう事?今のセリフを思い出して、理解した途端に顔が真っ赤になった。
「そ、そういう意味じゃなくて・・・そ、その・・・。」
「でも、僕のサイズだったら食べ切れないんだよね?」
だから、そんな笑顔で言わないで欲しい。
「フフ、真っ赤になって可愛いなぁ。」
結果的に、通常サイズとリヒトの親指サイズで落ち着いた。でも、食べる度に思い出しそうな気がする。