第18章 農業生活十八日目
リヒトは私にスープパスタなどの料理を用意してくれた。先に食べ終わったリヒトは、ルドと少し離れた場所で話をしていた。
リヒトにも、ルドのような相談できる相手がいることは嬉しい。きっと、ジーナのことを話しているのだろうし。
「莉亜。」
「あ、ジルドさん。どうかしましたか?」
「その・・・チラッと見えたんだが、ジーナは何の用だったんだ?ひょっとして、ルディのことで何か文句でも・・・。」
いきなり、後ろから抱き締められる。
「何も、問題ないですよ。」
有無を言わせぬ雰囲気に、ジルドはそれ以上尋ねては来なかった。リヒトがジルドと話すのさえ嫌がるのは、ルディの親だからなのかな?
「リヒト、スープパスタ凄く美味しかった。また、作ってくれる?」
「勿論だよ。」
ペカーッ!!と、眩しい笑顔。どうしてこうも、態度が違うのだろう。
ジルドたちが作業に戻り、私たちは固めたチョコレートの最終段階へと。ワインボンボンは、夜にと言われて食べさせて貰えなかったけれど、もう一つの生チョコの試食。
スーッと溶ける感触に、思わず頬を緩める。試食の後は、二階で二人でまったりと休息。二人でぼんやりと、外の雨を眺めていた。たまにはこんな時があってもいい。
リヒトの腕が肩に回され抱き寄せられ、体が密着する。リヒトに寄りかかり、ただ外に目を向ける。
そして、ジーナのことを思い出していた。ジーナはルディが欲しくて手に入れた。でも、浮気をしてて、更にリヒトにまで言い寄っていた。ルディのこと、本当に欲しかったのかな?
「ジーナは本当にルディが欲しかったのかな?」
「あの二人は幼馴染みみたいなものだよ。そのルディが、莉亜が現れた途端、莉亜に溺れた。それが許せなかった。幼い頃に、結婚の約束していたらしいよ。ルディは忘れていたみたいだけど。」
「えっ、だからジーナは・・・。」
是が非でも、自分にルディを取り戻した。でも、一度裏切られたと思ったジーナは浮気して・・・。私と付き合うようになったリヒトに言い寄って、憂さ晴らし?
「結果的に、ジーナはフラれたんだって。ルディはどうしても、莉亜が忘れられなかったらしくて、まぁ・・・僕も大概目の敵にされたけど。」
遠い目をするリヒト。目の敵の結果が、付け火だ。笑えない。
「もう一つ・・・厄介なことがあるんだ。」