第17章 農業生活十七日目
一頻り考えて、チョコレート菓子とパウンドケーキになった。果物を干したり、カカオからチョコレートにしたりと加工しなければならない。
「カカオって、たくさんあるの?」
「うん。明日にでも、加工をやってみる?」
「そうだね。中々、貴重な体験だな。」
リヒトは器用だから、何でもできそうだけど。夕方になり、ジルドたちは帰って行った。リヒトが話してくれていた様で、ベッドは二階の空き部屋に運び込まれていた。
何って、用意周到なのだろう。でも、これであんな怖い目に合わなくて済むのは嬉しい。それに、私だってリヒトとの情事を他人になんて見られたくない。
「明日は雨になりそうだね。空気が湿ってる。寒くない?」
「大丈夫。リヒトとくっついているし。」
「ならいいけど。寒くなったら遠慮しないでいいから。ちゃんと僕が温めてあげる。」
そう言って、スリスリされる。因みに、この部屋はそう広くないただの物置部屋だった場所。荷物は別の部屋に運び込まれているらしい。
そして、この部屋には窓がない。朝・・・起きられるか心配。いや、私の規則正しい体内時計がその機能を発揮してくれるかもしれない。
「誰だったんだろう・・・。」
「莉亜、無理に思い出さなくていいから。」
「でも・・・何も知らない方が怖いよ。」
リヒトにそう訴えてみれば、リヒトは少し眉を顰めこう言った。
「足跡の大きさから考えて、女性かなと思ってる。レックスさんにも確認はして貰ったよ。」
「えっ、そうなの?」
「そういうことも含めて、簡単に中が覗けないように改築もして貰うことにするよ。」
ジルド・・・何か、ごめんなさい。仕事が増えそうです。
「それと、また住人が増えるみたいだよ。お花見の時は、観光客も来るだろうし楽しみだね。」
「住人が増えるんだ。どんな人だろう?」
「莉亜にちょっかい出す人じゃなければ、どんな人でも僕は構わないよ。」
それは、私もそっくりそのまま言葉を返すよ。だって、今朝の目が女性のものだとしたら・・・絶対、リヒト目当てだと思うから。
「大丈夫だよ。僕が莉亜を守るし、もっと執着するから。」
ん?執着?
「う、うん・・・。」
下手な反論も突っ込みも危険だ。
「でも・・・何か変わったことや気付いたことがあったら、どんな些細な事でも構わないから僕に話して?いいね?」