第17章 農業生活十七日目
「こんにちは、レックスさん。」
「あぁ、こんにちは。莉亜も災難だったな。その後、どうだ?」
「大丈夫です。リヒトが居てくれるから。」
レックスが微笑ましそうに、リヒトを見た。
「良かったな、リヒト。可愛い彼女が出来て。それに、結婚するんだってな?おめでとう。」
「ありがとうございます。それでは、後はお願いします。」
「あぁ、任せておけ。じゃあな。莉亜、リヒトを幸せにしてやってくれ。」
うん?そういうのって、普通は逆なんじゃ?ルドにも同じようなこと言われたけど。レックスを見送った後、リヒトに尋ねた。
「レックスさんと、どんな話をしてたの?」
「ルディのことを知らせに来てくれたんだ。数年の入所になりそうだって。それと・・・。」
リヒトが、私の頬を撫でる。
「今朝の事も話しておいた。具体的な被害にあったわけじゃないけど、莉亜の事が心配だからね。見回りを強化してくれることになったから。」
「うん。」
「ごめんね、部屋に一人にして。」
頭を抱え込まれるように抱き締められた。
「大丈夫だよ。リヒトの声が聞こえてたから。」
「そっか。今日は、二階で寝よう。僕だって、僕たちの情事を他人に見せたくないからね。」
ん?それって・・・どういう・・・意味?
「う、うん。」
「ゴホンッ!!あ~、そろそろ飯いいか?」
私は驚いて。リヒトから離れた。
「そ、そんな怖い顔するなよリヒト。」
「別に僕は怖い顔なんてしてませんよ?まぁ・・・もう少し気を利かせてくれてもと思わなくもないですけど。では、お昼にしますか。」
チクッと嫌味を言っては、中に入っていく。私の背中を押して。
今日のジルドたちのランチは牛丼らしい。食べっぷりはかなりなもので、鍋の中は直ぐに空っぽになった。
私たちは天津飯。卵の黄金色加減とトロトロの餡が食欲を刺激する。餡の中には海老が入っていて見た目もいい。
「リヒト、凄く美味しい。」
「それは良かった。それで、お昼からの予定は?」
フト、考える。
「リヒトは?何か遣りたいことないの?」
「僕?莉亜に急ぎの予定が無いなら、考えたいことがあるんだ。」
考えたいこと?何だろう?
「結婚式の引き出物替わりのお菓子だよ。ほら、僕ってそう甘い物が得意な方じゃないから。何か案はないかと思って。」