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死が2人を分つまで

第1章 出会い


「やあ、ラクス嬢からお話は聞いてるよ。」

「どうぞ私の隣に。」

シーゲルと共に部屋に入った瞬間ラクスと医者に声をかけられる。
少しだけ頬を緩ませる。

「おや?だいぶ表情が柔らかくなったね。この前は妙な緊張感があったんだがね。」

「すみません。混乱していたものですから。」

席に着くとメイドが手際よく前菜を並べ始める。

「ワインはどうだい?これは私のお気に入りなんだがね、開けてもらおうか。」

シーゲルが立ち上がる。

「まぁ、私どもが開けてきますから、どうぞお待ちください。」

「ふむ、そうか、任せよう。」

またテキパキとメイドが動きすぐにグラスにワインが注がれた。乾杯をして一口ワインを飲む。
実は医学的に調べた結果14歳と言われたが私がもつ最後の記憶は22歳である。
お酒も十分嗜んでいた。
こちらの世界の来る途中で何か変わったのかしら?

「本題に入りたいのだがね」

シーゲルの言葉で会話に意識が戻される。

「君は過去から来たナチュラル出そうだね?」

「・・はい。そうとしかご説明できません。」

「いや、責めているわけではないんだ、そこで一つ提案があるんだ。私の養子にならないかい?」

驚きでフォークを落としてしまう。

「・・・・失礼いたしました」

「いや、突拍子のないことをいって悪かったね。」

喉を潤そうとワインに手を伸ばす。

「僕もそれに賛成するよ。君は頼る人がいないんだ。個人 IDを作る方法はいくらでもあるさ。でも誰も君を守ってあげれない。シーゲルの養子になれば強固な後ろ盾ができる。ナチュラルでも守ってあげられるんだ。」

理屈はわかる。
とてもありがたい話であることもわかる。
が、

「申し訳ありませんが、お断りいたします」

私は大日本帝国の内親王なのだ。
嫁ぐわけでもなく、政略的な意図があるわけでもないのにどこかの養子になり名を捨てることはプライドが許さない。

「なぜですか?」

ラクスが優しく問いかける。

「私にも生まれた家というものがあります。私は立場ある人間として多くの人々の上に立ち生きて来ました。その重みを私は忘れてはいけないのです」

私と共に戦い、私の指示で死んだ者、私の一声で誰かの人生を変えてきたのだ。
捨てられはしない。

「急ぎすぎたようだね。この話はまたしよう。」

前菜は下げられ、スープが運ばれて来た。
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